マレーシアで稼働中のCO<sub>2</sub>回収装置
マレーシアで稼働中のCO<sub>2</sub>回収装置
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 三菱重工業は,英Foster Wheeler社と共同で,同国の電力会社E.ON-UK社から,石炭焚き火力発電所向けCO2回収装置の基本設計を受注した。出力160万kWの超臨界炉を対象とした,世界最大級の石炭焚き向けCO2回収・貯留(CCS)装置で,E.ON-UK社はこれをもって,英国政府が進める大規模なCCS実証プロジェクトに応札する。

 今回のプロジェクトは英国エネルギー・気候変動省が主導する。応札企業は,2009年にCCS装置の初期設計を提出,同省が応札企業の絞り込みを行い,応札企業の最終選考は2010年となる。応札企業はそれぞれ自社の発電所を対象とした計画でエントリーする。E.ON-UK社は,同国で30年ぶりとなる新設の石炭火力発電所にCCS装置を設置し,石炭焚き排ガスからCO2を分離/回収/圧縮して,石油会社Tullow社の廃ガス田に貯留する計画。その際の機器供給は,三菱重工および英Foster Wheeler社などが担当する。

 三菱重工業のCO2回収技術は,関西電力と共同開発した特殊な吸収液(KS-1)を用いるプロセスで,他の方式に比べエネルギ消費量が少ないのが特徴。同社は,天然ガス焚き設備からのCO2回収ですでに商用プラント5基を納入,4基を設計/建設中で,業界トップの実績がある。不純物の多い石炭焚き設備からのCO2回収は,競争他社と同様に商用化には至っていないが,2006~08年には,国内で10t/日規模の実証試験とCO2回収の連続安定運転を実証している。