太陽電池モジュールを搭載する携帯電話機「SOLAR PHONE SH002」の表示部を分解を終えた日経エレクトロニクス分解班(分解記事その3)。続いては,キーボード側筐体の分解に取り掛かる。SH002は太陽電池モジュールを用いた充電機能やIPX5/IPX7相当の防水機能以外に,ワンセグ受信機能やFeliCaによる電子決済,GPS受信やBluetoothの送受信機能など国内の高級機種に搭載される機能をほぼ備えた「全部入り」モデルである。メイン基板に実装される部品を確認するのが目的だ。

 携帯電話機の下側筐体は,通常のプラスやマイナスのネジではなく異型のネジを用いるのが一般的だ。実際,SH002の電池カバーを外すと,星型のネジで4箇所固定されていた(図1)。

図1 下側筐体の電池カバーを外すと星型のネジが4個あった

 この4個の星型ネジを取り外した後,ドライバを間に挟み込むが筐体は開かない。520万画素カメラ・モジュール部分を覆う樹脂製カバーの下を取り外すと,さらに星型ネジで2カ所固定されていたからだ(図2)。このネジを見つけたことで,悪戦苦闘しながらもキーボード側筐体の分解に成功した。なお,星型のネジはワンセグ受信用の外付けアンテナの固定部にも使用されていた(図3)。

図2 520万画素カメラ・モジュール部分を覆う樹脂製カバーの下部にも星型ネジがあった
図3 ワンセグ受信用の外付けアンテナの固定部にも星型ネジがあった

 苦労しながら分解した,キーボード側筐体の内部を見る(図4)。下側筐体にはプリント基板が2枚,CDMA2000 1x EV-DO用メイン・アンテナやBluetooth/GPS用アンテナが搭載されている。筐体下部は2枚の筐体間および電池カバーにそれぞれ,ゴム製の防水パッキンを挟み込む構成で,防水機能を実現していた。

図4 キーボード側筐体を開けたところ

 続いて,メイン基板を取り出す。メイン基板は片側に,RF回路やデジタル信号処理回路など,主要部品がほぼすべて実装されている(図5,図6)。実装されている携帯電話機向けチップセットは,米Qualcomm Inc.の「MSM7500」である。これは,Qualcomm社とKDDIが共同開発したau向け携帯電話機の共通プラットフォーム「KCP+」を採用する端末の標準的なチップセットだ。なお,サブ基板にはワンセグ・チューナー・モジュールやFeliCa用の送受信回路などが実装されるのみである(図7)。

図5 SH002のメイン基板(表)。Qualcomm社の携帯電話機向けチップセット「MSM7500」を実装する
図6 SH002のメイン基板(裏)。SIMカード用スロットやmicroSDカード用スロットを実装するのみ
図7 SH002のサブ基板。写真中央左のモジュールがワンセグ・チューナー・モジュール。写真下の二つのチップはFeliCa用送受信回路とみられる
(日経エレクトロニクスは2009年6月29日号に,「SOLAR PHONE SH002」の分解記事を掲載する予定です)