図◎直径180±30nmのガラスパウダー「SCHOTT NanoFine」。
図◎直径180±30nmのガラスパウダー「SCHOTT NanoFine」。
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 独SCHOTT社とNECの合弁会社であるNEC SCHOTTコンポーネンツ(本社滋賀県甲賀市)は,歯科治療用のガラスパウダー「SCHOTT NanoFine」の日本での販売を開始した(図)。同パウダーは直径180nmで,粉砕粒が「世界一細かい」(NEC SCHOTTコンポーネンツ)。同パウダーを使用することで,従来に比べて詰め物(補綴物)の耐久性が高まるという。

 詰め物の主流であった金やアマルガムなどの合金と異なり,コンポジット充てん材には,熱さや冷たさを歯の神経へ伝えにくく,見た目も自然な歯に近い,という利点がある。コンポジット充てん材は,紫外線で硬化するポリマレジンとガラスから成り,ガラスパウダーの分量は,最大で8割にも上る。ガラスパウダーは,長期間にわたる圧迫への耐性を持たせると同時に,研磨しやすくする役割を持つ。

 新製品では,同社のグラインド技術「multi-stage griding process」によって直径180nmを実現した。公差が30nmと,粒径が均一なのも特徴だ。粒子が細かいため自然の歯の色と調和しやすく,前歯への使用にも向く。

 新製品を使用した充てん材は,X線写真では明るい白色に映る。X線写真では一般に,健康な歯は灰色に,虫歯はそれより暗い色に映るので,それらと見分けやすい。

 ラインアップとして,バリウムとストロンチウムを含有するタイプのほか,ジルコニウムを含有するタイプも提供する予定だ。いずれも,屈折率は1.47~1.83ndに対応する。