利益率の違い。経産省 組込みソフトウェア産業実態調査より。
利益率の違い。経産省 組込みソフトウェア産業実態調査より。
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 経済産業省の情報処理振興課は,組み込みソフトウエア分野の活性化策「組込みソフトウェア産業活性化プラン」を発表した(発表資料)(PDF形式の説明資料)。同省の調査によれば,組み込みソフトウエアの受託開発事業は利益率が5%程度と低いため,より利益率の高い自社製品の販売事業やツール開発・販売事業といった業態を指向していくべきとしている。

 同プランによると,自動車産業や電機産業などの組み込みソフトウエア関連産業は,名目GDPにおいて13.5%を占めており,開発規模は約4.2兆円。2004年から年平均で15.2%の成長率を維持しているという。

 ただし,こうした組み込みソフトウエアの開発は大企業ではなく中小企業が担っており,「優れた熟練技能者の蓄積がなされている中小企業は,高いシステム設計技術を背景に競争力を有する」(同プランより引用)としている。現在,こうした中小企業では資金繰りが悪化しており,特に従業員数51~100人の規模の中小企業では,キャッシュの余裕が平均1カ月を切り0.9カ月,キャッシュの不足が平均1カ月を超え1.6カ月にまでなっている。

 こうした状況を踏まえ,同プランでは主に中小企業向けの支援策を次の五つの領域,(1)ビジネス・マッチング支援,(2)技術開発・製品開発支援,(3)海外市場開拓支援,(4)人材育成支援,(5)資金繰り支援,でまとめた。

 同プランで提示した施策には以前から実施されているものも含まれているが,「ものづくり中小企業製品開発等支援事業」や「地域イノベーションパートナーシップ補助金」のように2009年度の予算・補正予算で新設されたもの,および「戦略的基盤技術高度化支援事業」のように2009年度補正予算で増額されたものもある。

<ビジネス・マッチング支援>
・地域イノベーションパートナーシップ補助金(2009年度予算で新設,正式名:地域経済情報化基盤整備費補助金交付要綱)
・川上・川下ネットワーク構築支援事業

<技術開発・製品開発支援>
・ものづくり中小企業製品開発等支援補助金(2009年度補正予算で新設,総額572.6億円)
・戦略的基盤技術高度化支援事業(2009度補正予算で増額,総額132.5億円)

<海外市場開拓支援>
・JETROによる支援(展示会への出展支援,有償でのアポ取得代行など)

<人材育成支援>
・中小基盤人材確保助成金
・キャリア形成促進助成金
・企業立地促進法に基づく人材養成等支援事業

<資金繰り支援>
・緊急保証制度(セーフティネット保証制度)
・セーフティネット貸付制度
・雇用調整助成金
・中小企業緊急雇用安定助成金