図1 デジタル・サイネージの世界・国内市場の推移
図1 デジタル・サイネージの世界・国内市場の推移
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図2 「MediaFLO」を用いた実証実験の概要
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図3 写真(左)がディスプレイのUSBポートに接続するMediaFLO受信機
図3 写真(左)がディスプレイのUSBポートに接続するMediaFLO受信機
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図4 韓国 江南に設置された46型液晶ディスプレイで,縦に8面並べた。最下部のディスプレイはタッチパネルを搭載しており,街の案内板の役割を持つという
図4 韓国 江南に設置された46型液晶ディスプレイで,縦に8面並べた。最下部のディスプレイはタッチパネルを搭載しており,街の案内板の役割を持つという
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 日本サムスンは,デジタル・サイネージ市場の現状と同社の事業戦略について,「デジタルサイネージジャパン(DSJ)2009」で講演した。日本のデジタル・サイネージ市場は,「まだまだ小さい市場で問題も多い。競争がオープンになっていくことが,市場が成長するカギとなる」(日本サムスンDigital Products事業部DMA Team部長の宮田隆氏)と述べた(図1)。

 日本のデジタル・サイネージ市場における最大の課題は,業界の構造にあるという。画像を表示する液晶ディスプレイなどのハードウエアや,表示するコンテンツを管理するソフトウエアなど,関連する事業すべてを1社で囲い込んでおり,「新規参入する隙がない」(同氏)とした。このほか,(1)顧客ごとに求める製品仕様が大きく違いカスタム設計が必要,(2)建造物が狭小なため省スペース性が重視される,などを課題として挙げた。

 こうした現状を受け同社は2008年7月に,32型液晶ディスプレイを使った低価格のデジタル・サイネージ・システム「ハルヱとケイジ」を発売している( Tech-On! 関連記事)。CPUを組み込んだ液晶ディスプレイと専用スタンド,編集・スケジューリング用ソフト「MagicInfo Pro」をワン・パッケージにした。

 2009年7月からはハルヱとケイジを利用した実証実験を,島根県松江市のユビキタス特区で開始する予定である(図2,発表資料)。同実証実験では,米Qualcomm Inc.が推進する携帯機器向け放送サービス「MediaFLO」の蓄積型クリップ・キャストという技術を利用する。UHF帯の62チャンネルで,MagicInfo Proを使ってコンテンツや更新情報を配信する。サイネージ表示機側では,ハルヱとケイジのWindowsコントローラ一体型の32型液晶ディスプレイに接続されたUSB型MediaFLO受信機により放送を受信する(図3)。

 今後の事業戦略の一つとしては,屋外・半屋外用のデジタル・サイネージ・パネルの日本市場への投入がある。韓国Samsung Electronics Co., Ltdは,ディスプレイの輝度が46型で1500 cd/m2,70・82型で2000 cd/m 2のパネルを開発した。従来品の400~500 cd/m2のパネルに比べて高輝度である。日中の屋外でも明るく見られるようにしたという。筐体に空調機器を内蔵し,防水防塵性能を盛り込む。海外では既に販売を開始しており,日本では2009年夏の発売を目指す(図4)。