高機能プラスチックスカンパニープレジデントの松永氏
高機能プラスチックスカンパニープレジデントの松永氏
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 「2008年下期は不況で営業利益が51億円に落ちるなど,利益は半分になった。自動車分野は市場環境が変わり,回復はまだ遅いと考えているが,IT分野は右肩上がりで,特にアジアを中心に伸びしろがまだある」。積水化学工業取締役専務執行役員高機能プラスチックスカンパニープレジデントの松永隆善氏は,同社の2009年以降の5カ年中期計画について15日,記者説明会を実施した。この中で,IT分野としてはこれまでの中小型液晶パネル用スペーサやシール材,光学フィルムなどのFPD用部材を中心としたビジネスに,新たに半導体実装材料,エネルギー関連部材を加えて,売り上げ増を目指すとした。

 半導体実装材料としては,接合用フィルムや接着剤,研磨用両面テープなどの事業を拡大する。またエネルギー関連部材としては,LED用シートや接着剤,太陽電池用封止フィルムなどが有力とする。特に2013年にはLED用接着剤など,LED関係が伸びるとしている。「IT分野は,トータルでは不況の影響を大きく受けていない。第1四半期で回復し,第2四半期は不透明だが,アジアを中心にまだ伸びしろがある。半導体分野,エネルギー分野は,プラスアルファの部分と見ている」(松永氏)とした。

 同氏は,4月27日に開かれた積水化学工業全社の中期経営計画説明会(ニュース・リリース)で,同カンパニーの案件として事業買収した米Celanese Corp.のPVA原料事業の今後の展開について解説を加えた。自動車用事業の中でも,合わせガラスの中間膜のフィルム事業が今後も伸びしろがあるとする。これまではPVA原料を購入してPVB樹脂を作り,成膜していたが,原料からのサプライ・チェーンを強化することにより,同社の「コスト競争力が高まる」(松永氏)とする。また,日本円換算で300億円の売り上げがあり,「中間膜,発泡フォーム,メディカル,IT用テープ類とともに5本目の大きな柱になる」(松永氏)とし,同社の安定基盤の強化につながるとした。