Snow Leopardで機能強化した既存プロジェクト
Snow Leopardで機能強化した既存プロジェクト
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Grand Central Dispatch。スレッドを有効に活用する
Grand Central Dispatch。スレッドを有効に活用する
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OpenCLでGPUの機能を処理に使う
OpenCLでGPUの機能を処理に使う
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 米Apple Inc.の次期Mac OS X向けOS「Snow Leopard」(開発コード名)はIntel版のみ――。2009年6月8日,同社主催の開発者会議「WWDC(Worldwide Developers Conference)」の基調講演で,Snow Leopardの対応機種は「Intel Mac」としか語られなかった。Intelアーキテクチャへの転換から約4年が経過し,機は熟したと見たのだろうか。

 Snow Leopardの柱は(1)Refine,(2)Technologies,(3)Exchange,であるという。(1)はMac OS Xに関連するプロジェクトは1000個程度あるが,そのうち90%以上をRefineしたという。例えば,ファイルを探しプログラムを起動する「Finder」を,ユーザー・インタフェースは変えないものの全面的に書き直した。これによりメール・ソフトやPreviewソフトの高速化,QuickTime Xプレーヤーの改訂などがなされた。

 基調講演ではRefineの例として,Expose機能の強化をデモした。Exposeは現在開いているウインドウを一覧形式で見せることで,ユーザーがウインドウを選択しやすくするというもの。例えばドラグ・アンド・ドロップ操作でメールにファイルを添付したいとする。そのときに,DockにあるFinderアイコンの上でマウス・ボタンを押し続けると,Finderウインドウだけが一覧表示される。またFinderからファイルをドラグし,それをDockにあるメールのアイコンの上に動かすと,メールのウインドウだけが一覧表示される。DockとExposeを統合することにより,ファイルを見つける時間が短くなるという。

 Technologiesとしては三つの要素を挙げた。64ビット化と「Grand Central Dispatch」,および「OpenCL」対応である。64ビット化はOSのコア部分だけでなく,Finderやメールなど主要アプリケーションも64ビット化させたという。Grand Central Dispatchは,アプリケーション・ソフトウエアがマルチコアの機能をうまく活用するための仕組みである。スレッドの割り当てを工夫するメカニズムで,システム全体のレスポンス向上に寄与するという。OpenCLはグラフィックス処理プロセサの並列処理性能を活用するためのAPIである。

 最後のExchangeは,Microsoft社のExchange Serverとの接続性向上である。オフィスでの利用率を高めたいという意図がある。Exchange Serverとは,例えばメール・ソフトで接続しておけば,Apple社の予定管理ソフトである「iCAL」や連絡先管理ソフトである「Address Book」なども自動的にExchange Serverを参照するようになる。

 Snow Leopardの発売時期は2009年9月。価格は129米ドルだが,現行のLeopardユーザーには29米ドルで販売する。またFamily Packとして,5ライセンスまで利用可能なバージョンを49米ドルで販売する。