UQコミュニケーションズと米Intel Corp.は2009年6月8日に記者発表会を共同で開催した(図1)。モバイルWiMAX(IEEE802.16e)技術を使う無線データ通信サービス「UQ WiMAX」を提供するUQコミュニケーションズは現在,無料の試験サービスを提供中で,2009年7月1日に東名阪での有料サービスに移行する(図2~4,Tech-On!の関連記事,2009年3月時点の試用レポート)。有料化を目前に控え,モバイルWiMAXの通信機能を備えたパソコンや,MVNO(仮想移動体通信事業者)としてモバイルWiMAXサービスを提供する企業の発表が相次いだ。
モバイルWiMAXによる通信機能を内蔵するノート・パソコンの国内での発売を表明したのは12社である。アスース・ジャパン,NECパーソナルプロダクツ,オンキヨー,シャープ,ソニー,デル,東芝,日本エイサー,日本ヒューレット・パッカード,パナソニック,富士通,レノボ・ジャパンの代表者が登壇し,それぞれモバイルWiMAXへの期待を語った(図5)。同時に登壇した日立製作所は,クラリオンが開発するPNDにモバイルWiMAX通信機能を付加することを計画していると表明した。
このうち,オンキヨー,東芝,パナソニックの3社は,モバイルWiMAXと無線LANに対応するIntel社製通信モジュール「WiMAX/WiFi Link 5150」を内蔵したノート・パソコンを正式に発表した。オンキヨーが発表したのは小型の「SOTEC C204A5」(市場想定価格は5万9800円),東芝が発表したのは512GバイトのSSDを搭載機「dynabook SS RX2/WAJ」(43万8000円),パナソニックが発表したのは「Let'snote WiMAX内蔵モデル(F8シリーズ)」(27万4450円から)である。このほか,ソニーは「VAIO type Z」および「同 type P」にモバイルWiMAX通信機能搭載モデルを追加することを表明した。
現在,ネットブックなどと呼ばれる小型ノート・パソコンの世界市場で首位に立つ台湾Acer Inc.の日本法人である日本エイサーも,Intel社製通信モジュールを内蔵したネットブック「Aspire One」の発売を計画している。「モバイルWiMAX通信モジュールを内蔵したパソコンの価格は,通常より1万円程度高くなりそうだ。そのコストアップには,モジュール,アンテナ,ライセンス費用などが含まれる」(日本エイサー)としている。
UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX通信インフラを利用して通信サービスを提供するMVNOに新たに名乗りを上げたのは,KDDI,ダイワボウ情報システム,ビックカメラ,ヤマダ電機の4社である。既にMVNOでモバイルWiMAXサービスを提供することを表明していたニフティとNECビッグローブに加え,合計6社となった(図6)。モバイルWiMAXの通信機能を内蔵する機器を購入したユーザーは,これらの6社にUQコミュニケーションズを加えた7社の中から,任意の事業者を選ぶことになる。
サービス提供者の1社であるUQコミュニケーションズは,月額4480円(登録料2835円)という定額の料金プランを設定している。ここまで発表されたMVNOは,UQコミュニケーションズとほぼ同じ料金を設定した。これについてUQコミュニケーションズ 代表取締役社長の田中孝司氏は「まだ始まったばかりなので,各社が横を見ながら検討している面がある。これから,思い切った料金プランを設定するようなMVNOも出てくるだろう」とした。