「Javaの父」Sun FellowのJames Gosling氏
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PlaySIMを使って,Sun SPOTのセンサ情報を発信
PlaySIMを使って,Sun SPOTのセンサ情報を発信
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高速自動走行のための技術を開発する「Project Bixby」
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古き良きアメリカ時代のLincoln Continentalをハイブリッド車として蘇らせる「LincVolt」
古き良きアメリカ時代のLincoln Continentalをハイブリッド車として蘇らせる「LincVolt」
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大量の画像データを高速で検索するVisuvi社の検索技術
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最後は居合わせたSun社社員で記念撮影
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 「2009 JavaOne Conference」の最終日は,毎年恒例となったVice President and Sun FellowのJames Gosling氏によるGeneral Session「Toy Show」から始まった。Javaを使ったさまざまな応用事例のうち,Gosling氏が気に入ったものをピックアップして紹介するという趣向になっている。2009年の「Duke's Choice Awards」の授賞式を兼ねる形で行われ,自社のツールであるJavaFXの応用やJavaFX用コンテンツの作成ツールを含め15種類を紹介した。なお,DukeはJavaのマスコット・キャラクターの名前である。

 紹介された製品の一つである米Terracotta Inc.のオープンソースのクラスタリング・ソフトウエア「Terracotta」は,そのスケーラビリティの高さが評価された。またオーストラリアAtlassian Pty Ltd.の「Clover」は,分散カバレッジ・テスト・ツールで,Gosling氏によると「コードの変更後すぐにテスト結果がフィードバックされる。テストを優しくするツール」である。

 こうした製品以外に,組み込み向けの応用もいくつか紹介された。まず,ノルウエーTelenor社とSun社が共同研究している「PlaySIM」である。次世代SIMカードに搭載される処理能力はかなり高いが,あまり有効に使えていない。そこで,SIMカードをSun社の汎用センサ・ノードである「Sun SPOT」に挿入できるようにしたものがPlaySIMである。この組み合わせにより,Sun SPOTで取得したデータをSIMカードで処理し,通信モジュールを介して処理結果を送信するといったことを実現できるという。

 クルマの事例も2種類紹介した。まず,独Volkswagen社,Stanford大学,Sun社が共同で研究している「Project Bixby」である。これは無人操作のクルマを,最高速度で自動走行させるというもの。Javaのリアルタイム処理機構である「Java RTS」を用いた研究で,2006年には人間が介在できる形で高速自動走行が可能な自動車を作っている。今回は成果はこれをさらに高速で動作させ,定められたコースをGPSを使って自動走行するというもの。ドリフト走行などもできるようにするという。単純なドリフトの制御であれば,すでに実現できている。Project Bixbyの完成は2010年を予定している。2009年10月には最初の公開テストを実施する計画である。

 もう一つはハイブリッド車の制御にJavaを利用するというもの。「LincVolt」という名称で,1959年製の巨大なLincoln Continentalをシリーズ・ハイブリッド型のハイブリッド車に仕立て直した。既に公道を走行する実験も実施している。駆動用のモーターは150kWで,ロータリー・エンジンで75kWのモーターを回して発電する。1台のx86を搭載したコンピュータで,電池の制御やモーターの制御,ユーザーへの通知などをすべてまかなっているという。

 これらのほかに目を引いたデモとしては,米Visuvi,Inc.の画像検索が挙げられる。画像のマッチングというと既によくあるアプリケーションのようだが,Visuvi Visual Searchは医療用に用いられている画像検索である。医療用の画像はデータ量が多く,単純にマッチングを取るのは難しい。Visuvi Visual Searchは色分析や特徴抽出,空間関係の識別など多数の解析結果を重ね合わせることによって,3300Mピクセルの10Gバイトに上るデータをリアルタイムに検索できるという。

 General Session終了後に,Sun社の社員が全員ステージに上がり,記念撮影をしていた。今までのJavaOneでは見られなかった光景だ。米Oracle Corp.による買収が決まった以上,事実として「Sun社が主催するJavaOne」はこれで終わりとなる可能性がきわめて高い。問題はJavaOne自体の継続である。ホスト役であるSun社Chief Evangelist and Chief Gaming OfficerのChris Melissions氏は「また来年合いましょう」と語って締めくくったものの,来年のJavaOneの日程が発表されなかったことも合わせて,「これが最後」という雰囲気が強く漂っていた。