写真1 ASUSTeK Computer社会長のJonney Shih氏
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写真2 米Intel Corp.の「CULV」を搭載したノート・パソコン「UX30」
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写真3 Eee PCの新製品で,「Seashell」と呼ばれる「Eee PC 1008HA」
写真3 Eee PCの新製品で,「Seashell」と呼ばれる「Eee PC 1008HA」
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写真4 11.6型(1366×768画素)の液晶パネルを搭載した「Eee PC 1101A」
写真4 11.6型(1366×768画素)の液晶パネルを搭載した「Eee PC 1101A」
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 台湾ASUSTeK Computer Inc.は,台北で開催中の展示会「Computex Taipei 2009」(6月2~6日)で,米Intel Corp.の超低電圧プラットフォームである「CULV」に対応したノート・パソコンや同社のネットブック「Eee PC」シリーズの新製品などを公開した。

 発表会では同社 会長のJonney Shih氏が「今後は,パワフルとビューティフルを兼ね備えたトータル・デザインで勝負する」と意気込みを語った。その中で紹介した製品の一つが,CULV搭載のノート・パソコンである。

 具体的には,同社がUシリーズと呼ぶ薄型ノート・パソコンの「U20A」や「UX30」などがそれである。U20Aは12.1型,UX30は13.3型の液晶パネルを備える。モデルによって仕様は異なるが,例えば,UX30はCPUに動作周波数1.4GHzのCore2 Solo SU3500またはCore2 Duo SU9400を搭載し,電池駆動時間は最大4時間。本体の厚さは6.8~19.9mmで重さは1.6kg。発売開始は2009年7月を予定する。価格は未発表だが,799~999米ドルぐらいと予想される。

 「電池駆動時間が通常のノート・パソコンと比べて長くなる点が,CULVの最大の特徴」(同社 NB Product Marketing Div.1 Product Marketing Dept2. Deputy DirectorのAlvin Chou氏)という。また,通常版のCore2プロセサを搭載するノート・パソコンより処理能力が劣るぶん価格も安くなっている。

 従って,CULV搭載ノート・パソコンの位置付けは,Atomを搭載するネットブックと,日本では高級の部類に属する薄型ノート・パソコンの中間にある。液晶パネルのサイズが12~15型,価格が8~10万円,バッテリー駆動時間が4時間程度といったノート・パソコンが想定される。

 「最初のターゲットは仕事で利用するビジネス・パーソンなどになるが,いずれネットブックのスペック,特に画面の大きさが物足りないユーザーや家庭向けの1台目のパソコンとしても購入されるだろう」(同氏)と予想する。それは結局のところ,ネットブックではないエントリー・モデルのノート・パソコンの価格帯を引き下げていくことになるだろう。

 一方,ネットブックのEee PCシリーズでは,既に発表済みの「Eee PC 1008HA」や「Eee PC 1005HA」などを見せた。Eee PC 1008HAは同社が「Seashell」と呼ぶ貝殻をイメージした,スタイリッシュな本体デザインに特徴がある。厚さも18~25.7mmと従来機に比べて薄い。重さは1.1kg。動作周波数1.66GHzのAtom N280,1GBのメモリ,160GBのHDD,10型(1024×600画素)の液晶パネルを搭載する。OSはWindows XP。

 またEee PC 1005HAは,CPUなどの仕様は1008HAと同じだが,1008HAよりも厚みがあって重い(1.6kg)。これは主に電池容量の違いによるもので,電池駆動時間は1008HAが最大6時間であるのに対して,1005HAは同10時間となっている。価格は未発表だが1008HAが約600米ドル,1005HAが300~400米ドルと予想される。

 このほかに同社は,ネットブックでは最大級となる11.6型(1366×768画素)の液晶パネルを搭載した「Eee PC 1101A」も展示している。2009年夏の発売を予定している。価格は500米ドル前後と予想される。11.6型液晶を搭載したネットブックは,台湾Acer Inc.も「Aspire One」シリーズとして発表している。CULV搭載ノート・パソコンの販売戦略と重ね合わせると,ネットブックの画面サイズは11.6型ぐらいが最大になるかもしれない。

 なお,米Qualcomm Inc.が2009年6月1日に携帯電話機向けチップセット「Snapdragon」を搭載した小型情報機器「スマートブック」を発表した際に,試作機としてAndroidをベースにしたEee PCを見せていたが,ASUSTeK社のブースにはAndroid機は展示されていない。これについて同社でEee PC関連のDirectorを務めるJoyce Liao氏は,「SnapdragonとAndroidを利用したEee PCは,あくまで研究開発の一つである。我々はさまざまな会社からオファーを受けて試作機などを開発している」と答えた。

 Eee PCの今後の展開については,「Eee PCには厚さやバッテリー駆動時間など,まだまだ改善の余地がある。ソフトウエア的には,タッチ操作や独自のユーザー・インタフェースなどを搭載した機種を今回展示している。こうした改善を加え,なおかつ価格を現行のEee PCと同程度に抑えることで,ノート・パソコン市場全体の50%ぐらいまでネットブックは伸びる可能性がある」(Liao氏)という。

 Windows 7に関しては「米Microsoft Corp.が正式出荷を始めれば,すぐにWindows 7を搭載したEee PCを発売できる状態にある。ただし,Windows XPの製品寿命は2010年6月ころまであると考えられるため,それまではWindows 7とWindows XPの両モデルが併売されることになるだろう。その場合,Windows 7搭載機の方が価格がやや高くなる」(同氏)と語った。