ニュース・リリースに合わせて開催された発表会の様子
ニュース・リリースに合わせて開催された発表会の様子
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 HDMIの策定/推進団体である米HDMI Licensing, LLCは,HDMIの次世代仕様「HDMI 1.4」が2009年6月30日までに決まり,仕様書のダウンロードが可能になると発表した(ニュース・リリース)。現行仕様の「HDMI 1.3a」が登場したのは2006年11月である。予定通りにHDMI 1.4が決まれば,およそ2年半ぶりの更新となる。既に,HDMIの策定/推進団体である米HDMI Licensing, LLCは,2009年1月,次世代仕様の策定に着手している事実を公表するとともに,次世代仕様に関する5つの方針について明らかにしていた(Tech-On!関連記事)。その方向性とは,1.車載機器分野への適用,2.新たな小型コネクタ仕様の策定,といった適用分野の拡大と,3.「4K×2K」や3次元映像への対応,4.ネットワーク機能の強化,5.音声機能の拡張,などである。

 まず,1の車載機器分野への適用に関しては,従来仕様よりも熱や振動,雑音への耐性を高め,信頼性や堅牢性を向上させた仕様を導入した。例えば,車載機器向けに新たなコネクタ仕様を盛り込んだ。

 2の新しい小型コネクタの名称は「Type D」。大きさは「Micro USB」並みで,端子数は従来と同じ19としたまま,現行の小型コネクタ仕様「Type C」に比べ,半分程度にまで小型化した。HDMI 1.4の登場に先立ち,策定中の仕様を基にして日本航空電子工業が車載向けコネクタを,米Molex Incが新しい小型コネクタを既に試作済みである(日経エレクトロニクス関連記事)。

3の4K×2Kへの対応については,3840×2160画素で,フレーム周波数24フレーム/秒と25フレーム/秒,30フレーム/秒,4096×2160画素で30フレーム/秒の映像を伝送可能とした。3次元映像への対応では,1080pの映像ストリームを2本伝送する。

 4のネットワーク機能の強化とは,100Mビット/秒のEthernetのデータ送受信を可能にすることである。これにより,IPベースのアプリケーションへの対応できるという。5の音声機能の拡張では,「Audio Return Channel」と呼ぶ機能をHDMIに加える。この機能を追加することで,例えばテレビからAVレシーバーに5.1チャンネルの音声データをHDMIで伝送できる。従来,こうした場合はS/PDIFを利用していた。

このほか,HDMI 1.4では,デジタル・カメラ向けに新たな色空間規格への対応も図った。「sYCC601」と「Adobe RGB」,「Adobe YCC601」である。

ケーブルは5種類

 HDMI 1.4の登場により,ケーブルの種類は大別すると5種類になる。1.「Standard HDMI Cable」,2.「High Speed HDMI Cable」,3.「Standard HDMI Cable with Ethernet」,4.「High Speed HDMI Cable with Ethernet」,5.「Automotive HDMI Cable」,である。

 1のケーブルでは1080i,60フレーム/秒の映像データを,2のケーブルではRGB各色8ビット,計24ビット・カラーを超えた映像や3次元映像を含む,1080p以上の映像データを伝送できる。3と4のケーブルはEthernetに対応する。5のケーブルは,HDMIを備えた車載機器にHDMI対応機器を外付けする際に利用される。