既存の1芯双方向モジュール(左)と,OKIが開発した技術によるモジュール(右)のイメージ図
既存の1芯双方向モジュール(左)と,OKIが開発した技術によるモジュール(右)のイメージ図
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OKIが試作した光送受信回路の顕微鏡写真(左)と,その構造(右)
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 OKI(沖電気工業)は,FTTHに向けて,Siを使った小型の光送受信回路を開発した(発表資料)。市販のSOI基板を使って,Si細線光導波路で構成した光回路や,送信用の光源である半導体レーザ,受信用フォトダイオードなどを3mm×2mmの1チップに集積した。空間光学系や石英光導波路を用いた既存のFTTH用光インタフェース・モジュールに比べて,約1/20に小型化できたとする。

 Si細線光導波路とは,コアにSi,クラッドに石英を利用する光導波路である。コアとクラッドの両方に石英を利用する石英光導波路に比べて,光の経路を鋭く曲げられるという。Si細線光導波路の最小曲率半径は5μmで,石英光導波路の約1/1000。今回,Si細線光導波路で構成した光波長合分波器や,光スポット・サイズ変換器などをSiチップ上に一体成型した。素子の位置を1μm以下の誤差で制御できるようにした。加えて,光波長合分波器に独自の設計を採用したことで,受信光に対する偏波無依存動作を実現したという。これにより,光回路構成を単純化できたとする。

 開発した光送受信回路は,PON用の加入者側終端装置(ONU)に向けて,送受信光を同一の光ファイバで入出力する一芯双方向型。送信波長は1.31μm,受信波長は1.49μmである。これを利用することで,従来は卓上機器として実現していたPON用ONUを,パソコンなどの端末機器やコネクタに内蔵できるようになるとする。OKIは今後,開発した光送受信回路を組み込んだ光トランシーバを開発し,PON用の小型ONUなどの製品への展開を進めるという。



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