図1 分解に取り掛かる技術者
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図2 バックライトの裏側部分にはSamsung社のロゴがあった
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図3 光学部材は4枚構成(写真:中村宏)
図3 光学部材は4枚構成(写真:中村宏)
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図4 CCFLの本数は12本
図4 CCFLの本数は12本
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図5 信号処理基板(左)とチューナー回路基板(右)。なお,上は電源基板である
図5 信号処理基板(左)とチューナー回路基板(右)。なお,上は電源基板である
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 ダイナコネクティブの激安液晶テレビ「DY-32SDDB」の筐体裏側を取り外した日経エレクトロニクス分解班(Tech-On!の関連記事1)。当然,分解はこれでは終わらない。この製品のウリともいえる,ダイナコネクティブがSamsung Electronics社から格安で購入した液晶パネル・モジュールを分解してバックライトの内部構造を確認する(図1,図2)。

 まずは,バックライトに搭載されている光学部材を見る。拡散板とレンズ・シートがそれぞれ1枚,拡散シートが2枚の4枚構成だ(図3)。「液晶テレビで見られる,一般的な構成だ」(分解に立ち会ったバックライト・メーカーの技術者)という。

 ただし,バックライト・メーカーの技術者は「今回の液晶テレビにレンズ・シートが搭載されているのは驚きだ」と続ける。レンズ・シートはバックライトの輝度向上のために用いられることが多い。このため,「低コスト化を狙った液晶パネル・モジュールの中には,拡散板1枚と拡散シート2枚で構成する場合もある。レンズ・シートを用いて,輝度向上を狙ったのだろう」と分析する。

 続いて,バックライトの光源を見てみる。搭載するCCFL(冷陰極蛍光管)は直径3mmで本数は12本だ(図4)。先に分解したソニーの省エネ型液晶テレビ「BRAVIA KDL-32J5」と比べて,CCFLの直径は小さく,本数は多いといえる(Tech-On!の関連記事2)。「国内テレビ・メーカーの製品であれば,2~3年前に多かった設計」(バックライト・メーカーの技術者)という。

 ダイナコネクティブはSamsung社が抱え込んでいた在庫品を安価に購入したという。この事実から推測すると,ダイナコネクティブが要求したパネル仕様である可能性は低く,Samsung社が数多く出荷している液晶パネル・モジュールをそのまま使ったのだろう。

 コスト削減の取り組みはパネル調達だけではなさそうだ。液晶テレビの主要機能を集約した,信号処理基板とチューナー回路基板には伊仏合弁STMicroelectronics社製の採用が目立つ(図5)。これを見たテレビ・メーカーの技術者は,「設計期間やコストを削減するためにSTMicroelectronics社のリファレンス設計をほぼそのまま使っているのではないか」と推測する。

分解記事の詳細は,日経エレクトロニクス2009年5月18日号の特集記事に掲載しています。