価格が4万9800円であるダイナコネクティブの32型液晶テレビ「DY-32SDDB」。DVDプレーヤーを内蔵する
価格が4万9800円であるダイナコネクティブの32型液晶テレビ「DY-32SDDB」。DVDプレーヤーを内蔵する
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Samsung製液晶パネル搭載をウリにする(写真:中村宏)
Samsung製液晶パネル搭載をウリにする(写真:中村宏)
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分解に取り掛かる国内テレビ・メーカーの技術者と日経エレクトロニクス分解班(写真:中村宏)
分解に取り掛かる国内テレビ・メーカーの技術者と日経エレクトロニクス分解班(写真:中村宏)
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裏側の筐体を取り外したところ(写真:中村宏)
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筐体を取り除いた状態(写真:中村宏)
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 ソニーの省エネをうたう液晶テレビBRAVIA「KDL-32J5」の分解をひと通り終えた日経エレクトロニクス分解班(Tech-On!の関連記事1)。続いては,DVDプレーヤー内蔵の32型液晶テレビでありながら,4万9800円という激安価格をウリにするダイナコネクティブの「DY-32SDDB」の分解に取り掛かる。

 ダイナコネクティブ製の液晶テレビは,流通大手のイオンが2009年2月20日から1万5000台限定で販売し,わずか数日で完売したとされる製品(Tech-On!の関連記事2)。価格だけでみると,国内大手テレビ・メーカー製の32型液晶テレビに比べて3~4万円程度安い。

 搭載する液晶パネルは韓国Samsung Electronics Co., Ltd.製。ダイナコネクティブは2008年秋のリーマン・ショック以降,Samsung社が過剰なパネル在庫を抱えていたタイミングで安価に購入したという(詳細は日経ビジネス2009年5月18日号の特集記事参照)。パネルの表示性能は,画素数が1366×768,輝度が500cd/m2,コントラスト比が3000対1であり,32型の液晶テレビとしては標準的な仕様といえる。

 まずは,分解に取り掛かる前に,ダイナコネクティブとソニーの液晶テレビの画質を比較してみる。「画質はソニーの方が若干上だが,一般ユーザーが見ると大差ないレベル」と国内テレビ・メーカーの技術者は評した。もっとも普及価格帯の液晶テレビは,「もはや画質を議論するレベルの製品ではない」(同)というのが技術者の本音のようだ。

配線ケーブルが異様に多い

 画質の評価を早々に切り上げ,いよいよダイナコネクティブ製の液晶テレビを分解していく。筐体裏側を開け一見しただけで,ソニー製品との大きな違いに気づく。分かりやすく言えば,ソニー製品の「すっきり」に対して,配線ケーブルが異様に多く「ごちゃごちゃ」なのだ。分解に協力してくれた国内テレビ・メーカーの技術者は,「これだけ配線ケーブルが多いとEMCが大量に発生しそうだ。対策は本当に万全なのか」と疑問を投げかける。

 搭載されていたプリント基板は6枚。液晶パネルの裏側に搭載するのが,信号処理基板とチューナー回路基板,電源基板,バックライト用のインバータ回路基板,液晶パネル用タイミング・コントローラ回路基板。さらに本体裏側の筐体部に搭載するのが,B-CASカード用スロット基板である。前述の技術者は,「組み立てる時の生産性はかなり低く,国内メーカーでは考えられない設計だ」と思わず漏らした(詳細は日経エレクトロニクス2009年5月18日号の特集記事参照)。

――次回に続く――