分解した二つの32型液晶テレビ。ソニーの「KDL-32J5」(左)と,ダイナコネクティブの「DY-32SDDB」(右)。(写真:中村 宏)
分解した二つの32型液晶テレビ。ソニーの「KDL-32J5」(左)と,ダイナコネクティブの「DY-32SDDB」(右)。(写真:中村 宏)
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ソニー製テレビの消費電力を測定したところ。56.45W。
ソニー製テレビの消費電力を測定したところ。56.45W。
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ダイナコネクティブ製テレビの消費電力を測定したところ。138.51W。
ダイナコネクティブ製テレビの消費電力を測定したところ。138.51W。
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 やけに暑苦しい――。

 日経エレクトロニクス分解班は,液晶テレビ2機種の分解に取り掛かった。一つは,省エネ型をうたうソニーの32型BRAVIA「KDL-32J5」。もう一つは,DVDプレーヤー内蔵の32型で,4万9800円と激安価格で話題を呼んだダイナコネクティブの「DY-32SDDB」。

 しかし,いつもと少し勝手が違う。部屋には,やけに人が多い。「日経ビジネス分解班」ならぬ,日経ビジネスの記者が何人も分解に立ち会っていたからだ。

 実は今回の分解は,日経ビジネスと日経エレクトロニクスが協力して実施した。この分解を踏まえ,それぞれ独自の記事をおのおのの雑誌に掲載する段取りだった。このため,分解の部屋はすし詰め状態になっていたのだ。(結果として,それぞれの雑誌に掲載した記事はこちら。日経ビジネス2009年5月18日号特集記事日経エレクトロニクス2009年5月18日号解説記事

実測値は56.45W

 分解に取り掛かる前に,まずはソニーのBRAVIAの消費電力を測定してみた。省エネ型をうたうからには,まずはその実力を確認したいと考えたからだ。この製品の消費電力の仕様は84W。これは,最大輝度モードで全白表示,かつ最大音量時の消費電力だという。

 分解班による消費電力の測定は,「スタンダード・モード」で地上デジタル・テレビ放送を映すという,家庭でのごく一般的な利用シーンを想定した条件で実施した。すると,消費電力は56.45Wだった。

 せっかくなので,ダイナコネクティブ製テレビも同条件で消費電力を測定した。すると,138.51W。ソニー製の方が圧倒的に消費電力が低い。

 確かに今回分解したソニーのBRAVIAは,省エネをうたうだけあって消費電力が低いようだ。実際,同社の過去の製品と比べても,消費電力が大幅に削減されていることが分かる。例えば,同社が2005年10月に発売した32型のBRAVIA 1号機の消費電力の仕様は150W。2000年6月に発売した32型CRTテレビは220Wだった。

 では一体,消費電力の削減に向けて,ソニーのBRAVIAはどのような工夫を施しているのか。分解によって,その技術をのぞいてみた。

――次回に続く――