メーカー別の出荷台数シェア
メーカー別の出荷台数シェア
[画像のクリックで拡大表示]

 MM総研は,2008年度のパソコンの国内市場調査の結果を発表した(発表資料)。出荷台数は,対前年度比1.8%増の1327万6000台だった。上半期は個人向け市場,企業向け市場ともに好調で,対前年同期比7.8%増となったものの,下半期は同3.2%減にとどまった。景気後退を受け,企業向け市場が冷え込んだことが響いたという。2008年度の出荷金額は対前年度比7.1%減の1兆4300億円。平均単価も前年度の11万8000円から10万8000円に下落した。

 2008年度の個人向け市場の出荷台数は対前年度比13.2%増の637万台,企業向け市場の出荷台数は同6.9%減の690万6000台だった。個人需要の増加が法人需要の減少を補う形になった。個人向け市場は2年連続で出荷台数が増加しており,前年度比2ケタの伸びとなったのは2000年度以来8年ぶりという。実売価格5万円前後の低価格で小型のノート・パソコン「ネットブック」が市場拡大を後押しした。ただし,量販店店頭では「単価下落が刺激材料となって客数は増加したが,販売金額を維持するためには販売台数が前年度比で20%前後増加することが必要で厳しい」との声があり,平均販売価格下落への対策が急務になっているとする。

Acer社とASUSTeK Computer社が上位10社以内に浮上

 メーカー別の出荷台数を見ると,上位6社の順位に変動はなかったものの,7位と9位に前年の10位以下から台湾Acer Inc.と台湾ASUSTeK Computer Inc.が浮上した。Acer社の出荷台数は対前年度比265.6%増の58万5000台,ASUSTeK Computer社は同2225.0%増の46万5000台。ネットブックの好調がシェア拡大につながった。5万円前後の価格と製品のモバイル性の高さが,2台目需要を創出しているとする。現時点では,自宅内などでサブ機として利用したり,外出先でインターネットに接続せずに利用するための購入が多いため,「今後ネットブック市場がさらに拡大するにはモバイルWiMAXやLTEといった宅外利用のための通信環境の整備が必要」とMM総研は分析する。

 上位10社の中で,Acer社とASUSTeK Computer社以外で2ケタ成長を遂げたのは5位の米Hewlett-Packard Co.(HP社)。出荷台数は,対前年度比18.7%増の119万5000台だった。個人向け市場では,ネットブックを早い段階から市場投入したことによってシェアを拡大し,不調の企業向け市場でも円高効果を利用して堅調な実績をあげた。

 上位4社の順位は,NEC,富士通,米Dell Inc.,東芝の順で,出荷台数はそれぞれ対前年比の6.4%減の250万台,同5.1%減の238万7000台,同1.6%減の195万台,同3.9%増の134万5000台だった。

2009年度の出荷台数は対前年度比5.8%減

 2009年度の出荷台数は,対前年度比5.8%減の1250万台となる見通し。企業向け市場は,上半期に前年同期比20%近い減少を見込むが,下半期には市況が底を打つと予想する。個人向け市場は,景気低迷と低価格化による需要促進が相殺して,前年度比で横ばいとみる。