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産総研,事故電流を抑制する超電導限流素子を開発

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2009/05/13 10:21
小笠原 陽介=日経エレクトロニクス
産業技術総合研究所(産総研)が開発した,超電導酸化物薄膜を利用した500V/200A級の限流素子
産業技術総合研究所(産総研)が開発した,超電導酸化物薄膜を利用した500V/200A級の限流素子
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産業技術総合研究所(産総研)が開発した限流素子の概念図
産業技術総合研究所(産総研)が開発した限流素子の概念図
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産業技術総合研究所(産総研)が開発した500V/200A級の限流素子で,高電圧をかける試験を行った結果
産業技術総合研究所(産総研)が開発した500V/200A級の限流素子で,高電圧をかける試験を行った結果
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 産業技術総合研究所(産総研)は,超電導酸化物薄膜を利用した,500V/200A級の限流素子を開発した(発表資料)。超電導酸化物薄膜が過電流により超電導状態から常電導状態に転移する現象を利用して,電力網での短絡(ショート)時などの事故電流を瞬時に抑制する目的の素子である。限流素子を用いることで,例えば風力発電など中小規模の発電設備を既存の電力網に数多く接続する場合に,事故電流によって電力関連設備が破損する事態を未然に防ぐことができる。今回の開発品を8個直列に接続すれば,3相6.6kV/200A級限流器の1相分を製作できる。これにより「実用規模(数kV/数100A級)の超電導限流器を実現できる見通しが得られた」(産総研)とする。

 塗布熱分解法(MOD 法)で作製した,膜厚160nmのYBa2Cu3O7 (YBCO) 薄膜を利用し,これに高抵抗率の金銀合金層を付けた。同じ長さで純金層を利用した従来素子に比べて,4倍以上の電圧をかけることができるため,高価な超電導薄膜の必要量を1/4以下にできるとする。

 今回,幅2.7cm,長さ20cmの薄膜を,2個の中間電極を用いて3分割した内部直列接続型の限流素子を構成し,それを2個並列にしたモジュールを作製した。短絡事故が発生したときに最初にクエンチした(超電導状態でなくなった)部分で局所的に温度が急上昇し,薄膜が焼損する「ホットスポット」現象を防止するため,無誘導巻き分流抵抗を薄膜と並列に接続した。無誘導巻き分流抵抗の抵抗値は薄膜の1/5以下であるため,薄膜がクエンチすると,通電電流の大半は外付け抵抗に分流する。これに加えて,静電容量120μFの市販コンデンサを,3分割された各部分の薄膜に並列接続した。

 このモジュールを液体窒素で冷却すると,237A(実効値)の電流を電気抵抗ゼロで流すことができた。高電圧をかける試験を行ったところ,限流素子がなければ 2.26 kAになる事故電流を,1/3以下に抑制できたという。

 今回の開発品を基に3相6.6kV/200A級の限流器を構成した場合,直径70cm,高さ2m程度の極低温容器に収納できる見込み。限流器の価格は容量1MW当たり200万円以下を目指すという。産総研では今後,実用化に向けて1kA級以上への大容量化のほか,限流動作条件や復帰時間の調整,素子構成の最適化といった課題に取り組み,開発を進める。

 産総研は今回の開発の詳細を、2009年5月13〜15日に早稲田大学で開催される低温工学・超電導学会と,2009年6月11〜12日に京都大学で開催される超電導応用電力機器研究会(電気学会)で発表する。

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