決算説明する東芝 代表執行役専務の村岡富美雄氏
決算説明する東芝 代表執行役専務の村岡富美雄氏
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 東芝は2009年5月8日,2008年度(2008年4月~2009年3月期)の決算を発表した(ニュース・リリース)。売上高は対前年度比13%減の6兆6545億円,営業損益は同4966億円減の2502億円の赤字,純損益は同4710億円減の3436億円の赤字である。赤字は7年ぶりとする。

 景気悪化の影響から全セグメントで減収減益となった。「デジタルプロダクツ」は,売上高が対前年度比16%減の2兆4675億円,営業損益が同292億円減の142億円の赤字だった。携帯電話機やパソコン,テレビが景気後退の影響で大幅な減収となった。パソコンはネットブックによる低価格化の影響を受けた。テレビはコスト削減等によって黒字化を達成したものの,HDDや携帯電話機,パソコンの減益が足を引っ張った。

 「電子デバイス」は,売上高が同24%減の1兆3249億円,営業損益が同3973億円減の3232億円の赤字である。NANDフラッシュ・メモリの大幅な価格下落やシステムLSIの不振によって半導体が大幅な減収となったほか,液晶も不調だった。半導体売上高の内訳は,ディスクリートが1936億円,システムLSIが4076億円,メモリが4220億円であり,いずれも赤字である。

 「社会インフラ」は,売上高が同1%減の2兆3962億円,営業利益が同181億円減の1132億円と減収減益ながら黒字を維持した。電力・産業システムが増収,社会システムと医用システムが減収となっている。

 「家庭電器」は,売上高が同13%減の6743億円,営業損益が同310億円減の271億円の赤字である。白モノ家電や照明,空調機器が減収となった。また,「その他」は,売上高が同12%減の3343億円,営業利益が同225億円減の5億円の黒字だった。

 2009年度の業績見通しは,売上高が対前年度比2%増の6兆8000億円,営業利益が同3502億円増の1000億円の黒字,純損益が同2936億円増の500億円の赤字である。

 売上高の内訳は,デジタルプロダクツが対前年度比1%減の2兆4500億円(上期1兆1400億円,下期1兆3100億円),電子デバイスが同2%増の1兆3500億円(上期6400億円,下期7100億円),社会インフラが同7%増の2兆5700億円(上期1兆1400億円,下期1兆4300億円),家庭電器が同1%増の6800億円(上期3200億円,下期3600億円),その他が同4%減の3200億円(上期1600億円,下期1600億円)である。

 営業利益の内訳はデジタルプロダクツが同392億円増の250億円の黒字(上期50億円,下期200億円),電子デバイスが同2632億円増の600億円の赤字(上期600億円の赤字,下期ゼロ),社会インフラが同368億円増の1500億円の黒字(上期300億円,下期1200億円),家庭電器が同271億円増のゼロ(上期20億円の赤字,下期20億円の黒字),その他が同155億円減の150億円の赤字(上期50億円の赤字,下期100億円の赤字)となっている。

 2009年度の売上高がさほど伸びないのに大幅な増益を見込んでいるのは,総額3000億円の固定費削減を進めるからである。削減する固定費の内訳は,デジタルプロダクツが500億円,電子デバイスが1600億円,社会インフラが400億円,家庭電器が300億円,その他が200億円となっている。電子デバイスに関しては半導体の体質改善や微細化によって,さらに1000億円分の追加削減を行う。

 2009年度の半導体に関しては,売上高が1兆500億円(上期5000億円,下期5500億円),営業損益が500億円の赤字(上期500億円の赤字,下期ゼロ),設備投資が900億円となっている。設備投資の60%はメモリ向けであり,主に微細化に振り向ける。半導体は2009年7~9月期から回復に向かうとする。

 なお,半導体工場の稼働率は,システムLSIを生産する大分の300mmラインが2009年1~3月期に30%,4~6月期に70%となっている。NANDフラッシュ・メモリを生産する四日市の300mmラインは1~3月期,4~6月期とも70%である。ディスクリートを生産する125mm/150mm工場は1~3月期が40%,4~6月期が70%,200mmラインは1~3月期が20%,4~6月期が40%,光デバイスは1~3月期,4~6月期とも20%である。