三菱電機 常務執行役 経理部長の吉松裕規氏
三菱電機 常務執行役 経理部長の吉松裕規氏
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 三菱電機は,2008年度(2008年4月~2009年3月)の連結決算を発表した。売上高は前年度比3846億円減の3兆6651億円(前年度比9%減),営業利益は1242億円減の1397億円(同47%減)と減収減益となった。すべての事業セグメントが減収となった。全セグメントが減収となるのは,2003年度以来5年振り。「改善活動などを展開してきたが,円高による為替差損と素材高騰が響いた」(同社)としている。

 事業セグメント別にみると,比較的好調だったのが重電システムと情報通信システム。重電システムは,公共事業の減少や昇降機事業での需要減の影響を受けて減収となったものの,電力事業の売り上げが増えたことなどから営業利益は前年度比59億円増の745億円となった。情報通信システムでは,携帯電話機端末事業からの撤退が奏効して営業利益が前年度比225億円増の248億円と大きく伸びた。一方,電子デバイス,産業メカトロニクスと家庭電器のセグメントは大幅な減益となっている。電子デバイスは,民生用の液晶事業が好調だったが,ルネサス テクノロジなどの半導体事業がふるわず赤字となった。売上高は前年度比13%減の1669億円,営業損益は298億円の損失となっている。収益性の低下を見込んで固定資産の減損損失を計上したことも赤字の要因となった。産業メカトロニクスは,売上高が前年度比16%減の8516億円,営業利益が同61%減の499億円の大幅減益。工作機械やディスプレイ関連の需要が減少してFAシステム事業の売り上げが減少したのに加え,自動車機器事業も自動車の需要減退の影響を受けた。家庭電器は,太陽光発電システムなどは好調だったが,欧州向けの空調機,国内の換気扇などがふるわず,売上高は前年度比8%減の9157億円,営業利益は47%減の347億円となっている。家電製品の収益については,「今後どう成長させるかを検討している。ただし,省エネ,環境対応,高齢化対応を柱に展開する。現在苦戦している欧州の空調機ビジネスだが,普及率が低い国が多く省エネや環境を訴求すれば,環境意識の高い欧州で伸びが期待できる」(同社 常務執行役 経理部長の吉松裕規氏)としている。

2009年度は赤字を予想


 2009年度の業績見通しは減収減益で,純利益は赤字を見込んでいる。売上高は2008年度比6%減の3兆4300億円,営業利益は同57%減の600億円,純利益は200億円の赤字を予想。セグメント別に営業利益の予想をみると,産業メカトロニクスの損益がゼロとなるほか,電子デバイスは160億円の損失になると予想している。「景気の底打ちも期待されるが,2009年上半期での経済環境の急回復は見込めず,厳しい状況が続く」(吉松氏)とみている。