デンソーの2008年度(2008年4月~2009年3月)決算は,連結決算の開示を始めた1978年以来初めて営業赤字を出した。売上高は前年度比21.9%減の3兆1426億6500万円,営業損失は373億900万円,純損失は840億8500万円だった。2008年10月以降,自動車生産が世界的に落ち込んだのを受け,収益が大幅に悪化した。純損失には,米国やハンガリーのパワートレーン機器の生産設備にかかわる減損損失213億円などが含まれる。

 売上高を地域別にみると国内が前年度比21.3%減,北中南米が32.7%減(為替影響を除くと22.9%減),欧州が25.4%減(同13.8%減),豪州/アジアが17.6%減(同4.2%減)と全地域で減収。特に米州での落ち込みが大きかった。いわゆるビッグスリー向けの売り上げは米General Motors Corp.向けが前年度比41%減の1000億円,米Ford Motor Co.向けが同26%減の550億円,米Chrysler LLC向けが同35%減の430億円だった。

地域別の売上高の推移
地域別の売上高の推移(年度ベース)
※消去前の数値のため,合計は連結売上高と一致しない

 2009年度の業績見通しは,売上高が前年度比13.4%減の2兆7200億円,営業損失400億円,純損失190億円とした。市況の回復や固定費の圧縮などで,下期には黒字化を見込む。日系メーカーの自動車生産台数は国内で前年度比19%減の813万台,海外で同6%減の1056万台と予測した。自動車販売は「日米で2009年後半から回復に向かう」とデンソーはみている。同社が固定費圧縮の柱に位置づけるのは設備投資の削減。前年度の1/2の1560億円を予定している。増産投資は凍結し,環境・安全分野の新製品関連に資金を割く考え。