米Qualcomm Inc.と米Broadcom Corp.は2009年4月26日,両社間で争ってきた訴訟について和解し,複数年の特許ライセンス契約を締結することで合意したと発表した(発表資料)。米国際貿易委員会(International Trade Commission:ITC)と米国カリフォルニア州サンタアナの連邦地方裁判所で争っていたすべての特許侵害訴訟を取りやめると共に,Broadcom社は欧州委員会(European Commission)と韓国の公正取引委員会(Korea Fair Trade Commission)に訴えていた申し立てを取り下げる。

 今回の合意によって,両社はそれぞれの特許ポートフォリオのもと,互いに一定の権利を与える。Qualcomm社はBroadcom社に対し,4年間で8億9100万米ドルの現金を支払う予定。このうちの2億米ドルは,2009年4~6月期に支払う予定である。なお,今回の合意条件は,Qualcomm社の第3世代移動体通信(3G)および第4世代移動体通信(4G)技術のライセンシング事業の収益モデルに対して,変更をもたらさないという。

 今回の合意には,以下の条件を含む。
・両社は,それぞれのIC製品,特定の他の製品およびサービスに関しては特許権をお互いに主張しない。
・Broadcom社は,携帯電話機に搭載されるQualcomm社のIC製品に関して,Qualcomm社の顧客に対しては特許権を主張しない。
・Qualcomm社の顧客は,携帯電話機以外の製品および装置に搭載されるQualcomm社のIC製品に関しては,Broadcom社の特許に対するいかなる権利も与えられない。
・Qualcomm社は,携帯電話機以外の製品に搭載されるBroadcom社のIC製品に関して,Broadcom社の顧客に対しては特許権を主張しない。
・Broadcom社の顧客は,携帯電話機およびそれに関わる装置に搭載されるBroadcom社のIC製品に関しては,Qualcomm社の特許のいかなる権利も与えられない。

 Qualcomm社のchairman兼CEOであるPaul E. Jacobs氏とBroadcom社のpresident兼CEOであるScott A. McGregor氏は,「今回の合意は,両社や両社の顧客,パートナー企業,業界全体にとって有益なものと確信している」とコメントを寄せている。