フォーラム会場には約150名が参集した
フォーラム会場には約150名が参集した
[画像のクリックで拡大表示]
広域無線端末と中継無線端末,これらと接続可能なメーターで構成する
広域無線端末と中継無線端末,これらと接続可能なメーターで構成する
[画像のクリックで拡大表示]
メーターと無線アダプタの間を接続する部分のインタフェースを高速化する。この部分を「次世代通信インタフェース」と呼んでいる
メーターと無線アダプタの間を接続する部分のインタフェースを高速化する。この部分を「次世代通信インタフェース」と呼んでいる
[画像のクリックで拡大表示]
会場では,中継無線機能を使ってマルチホップでデータをやりとりする実演も見せた
会場では,中継無線機能を使ってマルチホップでデータをやりとりする実演も見せた
[画像のクリックで拡大表示]
実証試験で利用されている中継無線端末
実証試験で利用されている中継無線端末
[画像のクリックで拡大表示]
今後の標準化ロードマップ。15.4gに提案する方針である
今後の標準化ロードマップ。15.4gに提案する方針である
[画像のクリックで拡大表示]
NICTで検討中の,400MHz以下の特定小電力無線の有効活用に向けた取り組みも紹介された
NICTで検討中の,400MHz以下の特定小電力無線の有効活用に向けた取り組みも紹介された
[画像のクリックで拡大表示]
閉会の挨拶を行なった総務省の林氏
閉会の挨拶を行なった総務省の林氏
[画像のクリックで拡大表示]

 ガスや水道,電力用メーターを高度化し,遠隔検針などに利用する「スマートメーター」導入に向けた取り組みが,国内でも活発化してきた。東京ガスや大阪ガス,東邦ガス,NTTなどは,各種メーター機器の遠隔検針に向けた通信規格の標準化に乗り出す。2009年4月24日に都内でイベント「ユビキタスメータリングフォーラム」を開催,ガス事業者や機器メーカーなどから約150名が参加した。

 各種メーターに,広域無線や中継無線用アダプタを接続し,マルチホップ接続などを使って無線で値を読み取る。低消費電力の無線通信方式を採用することで,電池駆動で10年間程度の利用を想定する。同フォーラム事務局は,この際に利用する中継無線方式や,各種メーターと無線アダプタ間を接続するインタフェースの標準化を目指す。このため,ガス事業者や水道局,メーカーなどと連携する方針だ。フォーラムには,東京ガスや大阪ガスのほか,東京電力,関西電力,中部電力などの電力事業者,横浜市水道局,東京都水道局なども招待した。

 フォーラム事務局が示した「ユビキタスメータリングシステム」は,以下の三つの要素で構成する。それは,広域無線機能を備えるアダプタ「広域ユビキタス端末」と,複数のメーターを経由してデータをバケツリレーするためのアダプタ「多段中継無線端末」,そして各種アダプタと接続可能なメーター「次世代通信インターフェース付メーター」である。広域無線には現在NTTが実証試験中の280MHz帯の無線方式などを,そして中継無線には950MHz帯の無線方式などを利用するとみられる(Tech-On!の関連記事)。

 ガスや水道のメーター側で対応が必要になるのは,これら無線アダプタと接続するためのインタフェース「次世代通信インタフェース」になる。このインタフェース仕様は,これまで都市ガスやLPガスなどメーターの用途によって分かれていたが,次世代仕様策定を契機に「統一したい」(東京ガス)という。このインタフェースが,ガスや水道,電力などで統一されれば,共通の無線アダプタを利用できるようになることから,アダプタの端末価格の低減が期待できる。なお,同様にマルチホップ接続を使ってメーターの値を遠隔で読み取るコンセプトに関しては,既に関西電力が実証試験の開始を発表していた(発表資料)。

 フォーラム事務局はこのうち,多段中継無線端末で利用する通信方式を,国際標準化する考えだ。このため,米IEEE802.15委員会の部会「TG4g」に,技術提案する予定である。フォーラムには,TG4gの議長であるPhil Beecher氏も参加し,4gを2011年6月の策定終了を目標に標準化活動を進めていることを明らかにした。フォーラム事務局はこのほか,次世代通信インタフェースの標準化に関して,LPガスIT推進協議会や日本ガス協会,高圧ガス保安協会などと連携して進めていくという。

 フォーラムの閉会時には,総務省の担当者が挨拶に立った。同フォーラムで策定する手法について言及し,「まぎれもなく次の時代のインフラになる。総務省は周波数政策の面で協力する」(総務省 総合通信基盤局電波部 移動通信課 課長補佐の林義也氏)とするなど,行政の面でも標準化を側面支援していく方針を示した。