図研,電子部品の3次元データを供給するサイトをオープン,部品メーカーの参加がカギ
図研は2009年4月23日,電子部品の3次元CADデータを収録してセットメーカー向けに無償で公開する登録制Webサイト「ePartFinder」を開設した(図1)。部品メーカーから提供を受けた3次元データをまとめて掲載することで,セットメーカーの技術者に利便性を提供する。仕様での検索機能(図2)に加え,複数の部品メーカーの同等品を提示する機能を設けた。図研が作成した電子カタログ「ePartCatalog」のデータ約4万5000点も登録した。
主にコネクタ,スイッチ,ジャックといった形状が複雑な部品について部品メーカーから3次元データの提供を受ける方針。ICやチップ部品など形状が単純で,その代わりバリエーションが多いものは,図研が既に作成したデータを登録する。セットメーカー自身も部品の3次元データをモデリングしている例があるというが,ラフな干渉チェックがでできる程度の大まかな形状だったり,単純な形状の部品に留まっていたりで,なかなかコネクタなどの3次元データまではそろえられないという。図研は,こういったところのデータを重点的に提供する考え(図3)。
3次元データの形式は,データ交換標準規格「STEP(ISO10303)」のもの。パラメトリック変形はできない。完全に1個の固まりになっているデータ(ワンボディ)と,例えばリード部とモールド部が分かれているデータ(マルチボディ)がある。あるいはモールドの中心と1番ピンの中央にそれぞれ点を置き(フットプリント原点),プリント配線基板(PCB)設計時に容易に配置できるよう工夫したデータもある。このような,セットメーカーの設計者が使いやすい3次元データにするノウハウは,図研が電子部品メーカーに提供し,好評を博している。
現在参加している部品メーカーは第一電子工業とタイコエレクトロニクスアンプの2社のみ。これをさらに増やせるかどうかが,今後のカギになる。コネクタ,スイッチ,ジャックなどの部品は形状がそのままノウハウを表すことになり,正確な形状を公開する上での抵抗感がある。例えばコネクタであれば差し込みやすさやカチッとした手ごたえ,外しやすさなどが重要であり,これらは形状自体で実現する。そこでデータの公開に当たっては,一部の形状を簡略化したり,内部構造を省略して一つの固まりで表現したりといった工夫が必要になる。「そのための時間と費用を気にする電子部品メーカーは多い」(図研取締役の上野泰生氏)。
しかし上野氏は「部品メーカーは,例えばソニーから(3次元データを出せと)言われる,パナソニックからも言われる,というように,多数のセットメーカーに対して同じようなデータを個別に用意するのは面倒なはず。それよりは図研のサイトにデータを出せば1回の作業で済むし,かつ顧客であるセットメーカーの設計者の利便性を向上させることができる。こうして顧客満足度の向上を実現することで,部品の販売増加につなげられる。セットメーカーはもう3次元でなければ設計しにくいはず」と強調する。
部品メーカーによっては自らのサイトで3次元データを公開している場合があるが,「図研のサイトに登録すれば,競合会社の部品を探しにきたセットメーカーの技術者を取り込める可能性も出てくる」。さらに図研は部品メーカーに対して,部品データへのアクセス数などのレポートと,アクセスしてきた技術者のセットメーカー名,部署名までを提供する考え(別費用)。
図研の立場では「基本的に3次元によるデジタルものづくりを広げたいという目的なので採算を第一には見ていない」(同)が,治具設計や文書作成といった,機械系CADに関連するシステムの拡販と,機械設計分野という図研にとっての新規分野へのアプローチも併せて目的とする考え。
部品メーカーが支払う年会費は1年目無料,2年目年額12万円,3年目同24万円。1年目は「部品メーカーが参加する際の壁を少しでも低くしておくため」に無料にした。2年目以降は有料だが,Webサイトの管理費を回収できるような額ではなく,割安にしてある。セットメーカーの技術者は無償で登録可能。
ePartFinderのURLはhttp://www.epartfinder.ne.jp/。












