消費者によるブランド評価のランキング
消費者によるブランド評価のランキング
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 消費者に最も評価されたブランドは任天堂——。日経BPコンサルティングが実施したブランド評価調査「ブランド・ジャパン2009」でこのような結果が出た(発表資料)。この調査結果は,延べ1500のブランドを,一般消費者とビジネス・パーソンへのアンケート調査に基づいて評価したもの。消費者による評価は,「フレンドリー(親しみ)」「コンビニエント(便利)」「アウトスタンディング(卓越性)」「イノベーティブ(革新性)」という4つの指標で,ビジネス・パーソンによる評価は「先見力」「人材力」「信用力」「親和力」「活力」「その他イメージ」の指標で評価している。2008年11月に実施し,約5万4000人から回答を得た。全体的に見ると,今回評価を上昇させたブランドのほとんどは,革新性の得点を伸ばしているという。

 ブランド力の順位を見ると,消費者から最もブランド総合力が高いと評価されたのは任天堂。2年連続で首位となった。ただし,2位の米Google Inc.,3位のソニーが僅差で追っている。任天堂の評価を押し上げたのは,卓越性と革新性が大きい。同社のサブ・ブランドの代表商品である「ニンテンドーDS」と「Wii」は,革新性のランキングでそれぞれ2位と5位になった。「この商品を出しているこの企業に愛着が湧く,信頼できる,他の商品も試してみたい」といった具合に,企業ブランドと商品ブランドが相互にプラスに作用し,ポジティブなイメージを醸成しているという。

 2位のGoogle社は前年の11位から2位に大きく浮上した。4つの指標すべてで得点を伸ばした。革新性のランキングでは第3位になり,親しみの得点は10ポイント上昇したという。「『ストリートビュー』などの新機能によって革新的なイメージを持たせつつ,親しみや共感といったブランドの持つ感情的な部分にも突き刺さるGoogle社の戦略は非常に興味深い」と日経BPコンサルティングは分析している。

パナソニックは社名変更でブランド力が上昇

 パナソニックの伸びも大きい。同社は前年の10位から5位に浮上した。革新性に関する得点が大きく伸び,革新性のランキングでは6位に大幅に順位を上げたという。また,社名変更による「ブランド・イメージの引越し」も無事に完了したとする。同社は2008年10月に社名を松下電器産業から変更したが,継続した強力なプロモーションによって認知度の低下を防いだことや,新社名が既存ブランド名からの昇格だったことが奏功したという。社名変更の意図が消費者に理解されたところも垣間見られ,結果的にブランド総合力を上昇させたとする。

 一方,大きく評価を下げたのはトヨタ自動車。順位は,前年の7位から29位に後退した。同社が10位以下に転落したのは,調査開始以来初めてという。大幅減益や期間従業員削減のニュースが調査期間中に取り上げられたことが,革新性の得点を大きく減らした。ただし,同時期に業績の下方修正を発表したソニーの評価は安定しており,順位も前年の4位から3位に上がっている。ソニーは,革新性の得点も上昇させており,日経BPコンサルティングは「ブランドのロイヤリティの高さが浮き彫りになった」と説明している。

ビジネス・パーソンによる評価の首位はトヨタ自動車

 ビジネス・パーソンからの評価が最も高かったのはトヨタ自動車。前年に引き続き,首位を維持した。個別の評価指標のランキングでも,先見力,人材力,信用力で首位となった。2位はパナソニックで,前年の6位から大きく浮上した。パナソニックも,先見力,人材力,信用力のランキングそれぞれで,2位を獲得した。3位以下の順位は,ホンダ,ソニー,任天堂となった。

ビジネス・パーソンによるブランド評価のランキング
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