図1●展示施設に設置された燃料電池システム。手前がカットモデルで,奥が実際のシステム。エネルギ効率の高い燃料電池でCO2削減を図る。
図1●展示施設に設置された燃料電池システム。手前がカットモデルで,奥が実際のシステム。エネルギ効率の高い燃料電池でCO2削減を図る。
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図2●屋上には出力5kWの三洋電機製の太陽電池を設置。
図2●屋上には出力5kWの三洋電機製の太陽電池を設置。
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 パナソニックは2009年4月15日,家庭からCO2排出量を実質的にゼロにする暮らしを提案する展示施設「エコアイディアハウス」を,東京都江東区有明にある「パナソニックセンター東京」の敷地内に開設した(Tech-On!関連記事)。「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」の三つの技術を中心とし,環境配慮型の家電製品やLED照明,燃料電池,太陽光発電などを利用して,3~5年後にCO2排出ゼロの暮らしの実現を目指す(図1)。

 パナソニックは,1990年の家庭からのCO2排出量を100%とした場合,これまで発売してきた省エネ製品を活用すれば,2009年段階でも排出量を47%まで下げられると試算している。詳細な試算の条件は明らかでないが,2階建ての戸建て住宅(3LDK+和室)に住む祖母(70歳),父(40歳),母(37歳),娘(6歳)の3世代4人家族を想定し,近年の製品保有台数の増加や大型化も考慮しているという。さらに,今後の省エネ製品の普及によって(3~5年後の)201X年には35%にまで下げることが可能という。残りの35%を,燃料電池や太陽電池,蓄電池よる創エネ/蓄エネ効果で相殺して実質ゼロにする,というのがシナリオの大枠だ。つまり,これまでの削減は省エネ製品が担っていたが,今後はそれに加えて創エネ/蓄エネ製品が大きな効果を発揮すると考えている。

 家庭からCO2排出を相殺するには,太陽光発電による余剰電力の売却が効果的なので,パナソニックは太陽光発電事業を強化していくと見られる。ただ,製造に乗り出すわけではないようで,「太陽電池はさまざまなところから購入する」(パナソニックの説明員)方針だ。実際,展示施設の屋上には,三洋電機製の出力5kWの太陽電池が設置されている(図2)。また,冷蔵庫などに使われている真空断熱材を,住宅壁面などの断熱材としても本格的に展開していくことを明らかにした。