CellScopeを携帯電話機に接続した様子
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Mobile Solar Computer Classroom開催の様子
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 米Intel Corp.のChairmanであるCraig Barrett氏は,中国・北京市内で開催中の「Intel Developer Forum(IDF)」の基調講演で,同社主催のアイデア・コンテスト「INSPIRE・EMPOWER Challenge」の受賞者を発表した(発表資料)。同コンテストは2008年8月のIDFでBarrett氏が開催を発表(Tech-On!関連記事),教育や健康管理,経済発展,環境の問題に役立つアイデアを募っていた。最終的には世界44カ国の企業や大学,非営利団体,個人などから200以上の発明や企画が集まったという。Intel社は主に影響の持続性と革新性の観点から受賞者を選んだと説明する。受賞した4つのアイデアには賞金10万米ドルが贈られる。受賞したアイデアは以下の通り。

 カリフォルニア大学バークレー校のDaniel Fletcher教授と研究チームは,カメラ付き携帯電話機などに接続して使う小型の顕微鏡「CellScope」で受賞した。マラリアや結核などの伝染病の診断装置として発展途上国などで使うことを想定している。使い方は,CellScopeの接眼レンズ部に携帯機器のカメラを密着させる形で接続。スライド・ガラスに血液などの試料を付着させ,LEDで照らし,鏡筒を通して試料画像を携帯機器側のカメラ部に伝え,携帯機器のディスプレイで確認する。

 人道支援組織であるCatholic Relief Servicesはキャッサバという植物の栽培支援プロジェクトである「Great Lakes Cassava Initiative」(GLCI)で受賞。キャッサバは熱帯地域の食料源として栽培されているが,2種の病害が東アフリカや中央アフリカのキャッサバ農家を悩ませているという。GLCIでは6カ国115万人のキャッサバ農業従事者を教育するとともに,病気に耐性のあるキャッサバの苗を提供する計画。農家とフィールド・エンジニア,プロジェクト・マネージャーの間での情報交換にはラップトップ・パソコンを使う。

 ウガンダのMaendeleo財団は,パソコンの移動教室「Mobile Solar Computer Classroom」で受賞した。SUVにテントや机,椅子,Intel社の低価格ノート・パソコン「Classmate PC」を積んで各地へ派遣し,子どもたちにパソコンのスキルを教えるというもの。SUVのルーフには太陽電池パネルを設置し,Classmate PCの充電に利用する。

 国際NGOであるWinrock Internationalは,ICT(情報通信技術)サービス・センターをネパールの集落に設置するプロジェクト「Rural Livelihood Enhancement」で受賞した。送電網が整備されていない地域に対応するため,小型の水力発電システムや太陽電池を利用する。ICTサービス・センターは学生がコンピュータを使う施設として開設し,学校の休暇期間には市民にも開放する予定という。