ハイブリッド型を採用することで,適用可能な機器が広がっていく
ハイブリッド型を採用することで,適用可能な機器が広がっていく
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 「Web 2.0 Expo」の「Future of Mobile:Native Apps vs. Mobile Web vs. Hybrid Apps」というセッションでは,2008年に開催された米国大統領選挙でオバマ大統領向けにiPhoneアプリを開発したJason Grigsby氏が登場した。同氏は米Cloud Four,Inc.の Vice President, Mobile and Web Strategistである。

 「2008年初頭は,誰もがiPhoneを讃え,Web 2.0の動きも過去のものと言われつつあった。Webアプリよりネイティブ・アプリの方が有利だと考えていた」(Grigsby氏)。しかしiPhoneの成功で,多くの開発者がその市場を狙った結果,iPhoneのアプリケーション・ソフトウエア配布サイトである「AppStore」において,Top Listの上位に位置するか,「Staff Pick」で紹介されるかでないと成功に結びつかない状況になったという。

 一方で携帯電話機全体を相手にしようとすると,開発言語やOS,実行環境などさまざまな違いをクリアしなければならない。「その中で比較的違いが吸収しやすいのが,モバイルWeb」(Grigsby氏)。市場としても非常に伸びているところである。

 ネイティブ・アプリケーションを選ぶ理由は,(1)性能,(2)オフラインでの利用,(3)販売サイトなどにより発見が比較的容易,(4)機器の持つハードウエアの利用,(5)収益モデルの確立,である。しかしモバイルWebでも,これらのうち(1)はJavaScript実行エンジンの強化で,(2)は次期版HTMLの規約やGoogle Gearsなどの登場で解消されつつある。

 (3)~(5)に対応するため,Grigsby氏が提案するのがハイブリッド型である。つまりコンテンツの基本機能はHTML+JavaScriptで作っておき,それにネイティブ・アプリケーションの皮をかぶせる。これにより問題を解消できるとする。既に米Nitobi Inc.の「PhoneGap」を使えば,こうした実装が可能になるという。この手法を使えば,「ネイティブ・アプリ派の人たちには悪いけれど,OBAMA '08もモバイルHTMLをベースに実装できる」(Grigsby氏)。