DRAMメーカーのドイツQimonda AGと子会社であるドイツQimonda Dresden GmbH & Co. OHG.の事業再生手続きがミュンヘン地方裁判所で始まった(発表資料)。両社の保全管理人を務めてきた弁護士のMichal Jaffe氏が破産管財人に選任された。Jaffe氏らは,Qimonda社の事業を可能な限り維持することを第一義として,Qimonda社への投資を検討している複数の投資家との協議を続けている。事業継続に向けたドイツ政府や地方自治体,ポルトガル政府,EU当局らへの支援要請も継続中。これらの支援の条件は「anchor」(Qimonda社をつなぎとめてくれる錨になりうる投資家)の出現という。

 Qimonda社は事業再生手続きの間,従業員の雇用を維持する目的で移行会社を設立し,従業員の移籍を進めている。2009年4月1日付でミュンヘン拠点から600人,ドレスデン拠点から1850人が移籍しており,これは各拠点で会社側から移籍の提案を受けた従業員総数のそれぞれ84%,93%に相当するという。移行会社は2009年8月半ばまでの最長4カ月半,賃金の支払いを保証する。

 一方で,ミュンヘン拠点に従業員340人,ドレスデン拠点に575人が残り,事業体を維持している。ドレスデン工場では2009年4月1日に量産活動を停止したが,設備は待機モードとし,技術者がメンテナンスを施し,出資者が見つかり次第,生産が再開できる体制をとるという。2009年1月23日の破産申請以降,Qimonda社は不採算事業の停止や工場稼働率の調整などコスト管理を徹底してきた。同社は2009年3月末までの2カ月強で9000万ユーロを超える売上高を計上している(前年1月~3月の3カ月間の売り上げは4億1200万ユーロ)。「Buried Wordline(埋め込みワード線)」技術も開発を継続しており,債権者委員会の了承の下,破産申請後も46nm世代の同技術に投資を行った(Tech-On!関連記事)。

 Qimonda社は会社存続をかけて固定費削減や技術開発に取り組んでいるが,このまま投資家が見つからないか,投資元に事業を買収された場合,同社は清算される。