パナソニック電工は,2009年3月27~30日に千葉の日本大学で開かれた「日本化学会第89春季年会」での講演で「色素増感光電変換素子」を開発していることを明らかにした。室内での変換効率は,結晶Si型やアモルファスSi型太陽電池よりも高いという。同社は,まず室内のセンサやLEDの電源として同素子を実用化する方針である。

 同社は,独自に開発した色素増感型太陽電池と結晶Si型やアモルファスSi型太陽電池の発電能力を,室内照明を想定した200lxの蛍光灯下で比較した。色素増感型の発電能力は最大7.9μW/cm2で,アモルファスSi型の約1.2倍だったとする。「実際の用途では,数μW~数mWの電源になる」(パナソニック電工)。そして当初の価格は「アモルファスSi型などと同程度になるだろう」(同社)。

 センサなどの次には,さまざまな色や半透明な太陽電池など高意匠性を狙う用途があり得るとする。「既に光の透過率78.6%というほとんど透明な太陽電池も試作済み」(同社)という。