iPod shuffleの第3世代品は,ヘッドホンのケーブルに付いたリモコンで各種の操作を行う。ヘッドホンを耳に挿入してリモコンをぶら下げた状態のとき,上部を押すと音量が大きくなり,下部を押すと音量が小さくなる。中央部を1回押すのが「再生/一時停止」である。ダブル・クリックのように2回連続で押すと次の曲に移動し,3回連続で押すと前の曲に移動する。一定時間以上押し続けると,曲名とアーティスト名が読み上げられ,「ピッ」と音がするまで押し続けるとiPod shuffleに転送されているプレイリストが順番に読み上げられる。あるプレイリストを読み上げている最中にボタンを押すと,そのプレイリストの曲に移動する。

図4 新型iPod shuffleのリモコン
中央のくぼんだ部分を押すことで再生や一時停止,音声案内などの操作を行う。「+」と「-」の部分は音量調整用。

 Apple社が「あなたに話しかける」という宣伝文句を掲げる音声案内機能「VoiceOver」は,どのように実現しているのだろうか。iPod shuffleでVoiceOverを利用するためには,パソコン用の音楽管理ソフトウエア「iTunes」に,「VoiceOver Kit」と呼ばれるプラグイン・ソフトウエアを追加する必要がある(図5)。

図5 音声案内用のソフトウエアを追加
「VoiceOver Kit」と呼ばれるプラグイン・ソフトウエアを追加することで音声案内機能が利用できるようになる。

 iPod shuffleが読み上げる音声データは,VoiceOver Kitが自動的に生成する。パソコンにiPod shuffleを接続した状態でフォルダを参照すると,多数のWAV形式の音声ファイルが格納されていた(図6)。 この音声ファイルをパソコンの音楽再生ソフトウエアで再生してみると,iPod shuffleでリモコンを操作したときに聞こえるものと同じ音声が聞こえた。楽曲やプレイリストとこれらの音声ファイルを関連付けて管理し,それをユーザーの操作に応じて再生することで音声案内機能を実現しているようだ。

図6 WAV形式の音声ファイルを生成
「Playlists」フォルダにはプレイリストの数,「Tracks」フォルダには楽曲の数の音声ファイル(WAV形式)が格納されていた。楽曲読み上げ用音声ファイルの容量は100Kバイト前後だった。

 一通りiPod shuffleの使い勝手を試した我々は,いよいよ分解作業に取りかかることにした。

―― 次回へ続く ――