Continua Health Allianceの日本地域委員会 代表を務める,インテル 事業開発本部 デジタルヘルス事業部長の石川真澄氏
Continua Health Allianceの日本地域委員会 代表を務める,インテル 事業開発本部 デジタルヘルス事業部長の石川真澄氏
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 米Intel Corp.が中心となって設立した非営利団体「Continua Health Alliance」は,2009年2月に健康機器と電子機器の相互接続性を確保するための設計ガイドラインが完成したことを発表した(Tech-On!関連記事)。ガイドラインの完成を受け,現在,14社のエレクトロニクス企業が健康管理市場に向けた機器や部品,サービスなどの開発に取り組んでいる。今後も,この設計ガイドラインに対応した製品開発が世界各地で進む見込みである。

 Continua Health Allianceの日本地域委員会 代表を務める,インテル 事業開発本部 デジタルヘルス事業部長の石川真澄氏に,設計ガイドラインの狙いなどについて聞いた。(聞き手:小谷 卓也=日経エレクトロニクス)


――Continua Health Allianceの設計ガイドラインによって健康機器と電子機器の連携が進むことで,どのような世界が広がるのか。

 我々は,大きく三つの利用ケースを想定している。(1)日常的な健康管理での利用,(2)慢性疾患の管理における利用,(3)高齢者の自立生活を支援するための利用,である。

 地域によって,ニーズに違いがある。例えば日本では,(1)の健康管理での利用から導入が始まると見ている。一方,米国では,(2)の慢性疾患の管理に対するニーズが高い。つまり,病気になった後のケアの際に利用したいというニーズである。

 実際には,設計ガイドラインに基づいた製品やサービスを提供する企業が,それぞれのマーケットに応じた利用方法を提案していくことになる。

――発表された設計ガイドラインでは,無線通信の場合はBluetooth,有線通信の場合はUSBを採用している。この通信規格を選んだ理由は。

 世の中に存在するさまざまな通信規格の中から,最も汎用的で使いやすいと判断したものを選んだ。世界での普及率などを考慮した結果,BluetoothとUSBになった。

 ただし,今回の設計ガイドラインは決して最終形ではない。設計ガイドラインの改訂に向けて,より低消費電力な無線方式の採用の検討も進めている。

 低消費電力の無線技術は,まだ十分に確立していないため,実際にガイドラインに盛り込むことになるのは,数年先になるだろう。低消費電力の無線技術といっても,ZigBeeに絞っているわけではなく,さまざまな方式を候補にしている。具体的なことは,検討中のため開示できない。

――やり取りする健康データの通信形式(データ・フォーマット)には,医療機器向けの通信仕様だったIEEE11073をアレンジした規格を用いているが,血圧計や体温計,体重計など健康機器の種類ごとに規格が異なるのはなぜか。

 まとめて一つの通信形式にしてしまうと,健康機器の種類に応じた多くのデータ・テーブルを持つ必要があり,情報量が多くなりすぎてしまう。相互接続性を確実に実現するために,できるだけシンプルな通信形式となるようにした。

――健康機器の相互連携を図ろうとする動きは,Continua Health Alliance以外にも出てくるとの声がある。

 現時点では,汎用的に相互運用性を確保できるのはContinua Health Allianceの設計ガイドラインだけだ。今後,ほかにも動きはあるかもしれないが,我々はとにかく第一歩を踏み出した。まずは,走りだすことが何より大事だ。走りださなければ,市場は決して立ち上がらない。

■関連記事:日経エレクトロニクス2009年3月23日号の解説記事「エレクトロニクス企業が健康管理市場になだれ込む