米ngmoco社CEO and FounderのNeil Young氏
米ngmoco社CEO and FounderのNeil Young氏
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 2009年3月23日に米国サンフランシスコで,Game Developers Conference(GDC)が開幕した。初日はチュートリアルと,モバイルやAIなどのテーマに特化したサブコンファレンス(それぞれ「Summit」という名称が与えられている)が開催された。

 携帯電話機関連に特化したSummitは「GDC Mobile」という名称で,基調講演に米ngmoco社CEO兼FounderのNeil Young氏が登壇した。ngmoco社は米Apple Inc.の「iPhone」および「iPod Touch」向けにゲーム・タイトルを次々開発し,ヒットを飛ばし続けている。先日の「iPhone 3.0」の発表会においても,iPhone 3.0の新機能を活用したゲーム・タイトルのデモを2種類見せていた。

 いきなり「新しい開発者を採用しに来た」(Young氏)と本音ともジョークともつかない一言から講演を始めたYoung氏は,「今までの携帯電話機向けゲーム開発には,非力な性能と不足する機能,と移植に次ぐ移植,携帯電話事業者の影響力など,さまざまなマイナス要因があった。それがiPhoneの登場により一変した」と語った。

 iPhoneが変えたことを(1)市場,(2)ゲームそのもの,(3)ゲーム開発,(4)ゲーム販売事業者,の四つの視点から整理した。(1)に関しては,任天堂の「ニンテンドーDS」やSCE(ソニー コンシューマー エレクトロニクス)の「PlayStation Portable」など,今までの携帯ゲーム機よりも早く市場が立ち上がっていると説明し,「現在,1日に平均165本の新しいアプリケーション・ソフトウエアが登録されている。これほど早いペースで普及したプラットフォームは存在しない」(Young氏)。一方で,iPhone/iPod Touch向けのアプリケーション提供の場である「AppStore」では,「数が多く埋もれてしまう可能性があるので,そのための工夫が必要」と指摘した。

 ゲームそのものについては,DSとPSPを再び引き合いに出し,「機器の機能や性能では,DSよりPSPが優れていた。しかし2画面とタッチ・インタフェースというハードウエアの特性を生かしたソフトウエアを用意することで,総合力でDSが勝った」と分析。ハードウエアの備える機能をいかに生かすかがカギを握ると説明した。具体的には,常につながっていることをiPhone向けではマルチタッチや3.0版から導入されるVoIP,プッシュ方式による通知をいかに活用するかが重要だ」とした。

 (3)のゲーム開発に関しては,個人でも十分に大企業と対抗し得るプラットフォームだと語った。さらに自社の面構成のアクション・ゲーム「Rolando」を引き合いに出し,「最初に4world,36面の有償ソフトを2008年12月に出し,2009年3~5月に無償の20面を3回追加する。2009年6月に第2弾ソフト『Rolando 2』,2009年7~10月にその無償追加といった具合に,段階を踏んで面を増やしていく。今までのゲーム・ソフトとは異なる提供方式に対応する必要がある」(Young氏)と語った。

 最後の(4)については,ゲーム提供会社の役割はよりよいゲームを作りやすくすることと,それをいかに人目に触れさせるようにするかが重要だとしたうえで,具体的には「いかにゲーム利用者の声を吸い上げるか」(Young氏)がカギを握ると語った。