図1 トヨタ自動車とKDDI,ナビタイムジャパンは共同で,携帯電話機とカーナビを通信するためのプラットフォームを開発した
図1 トヨタ自動車とKDDI,ナビタイムジャパンは共同で,携帯電話機とカーナビを通信するためのプラットフォームを開発した
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 トヨタ自動車とKDDI,ナビタイムジャパンは2009年3月23日,携帯電話機向けの位置情報などを,Bluetoothによりカーナビに送信するためのプラットフォームを開発したと発表した(Tech-On!関連記事)。トヨタ自動車とナビタイムジャパンが協業したことを発表するのは初めて。まずは,ナビタイムジャパンがau端末向けに提供する経路案内サービス「EZナビウォーク」における位置情報を,トヨタ自動車の純正カーナビに送信するサービスから始める。カーナビは,2009年上期にトヨタ自動車が発売する純正品から対応する見込み。カーナビ・メーカーとしては,アイシン・エィ・ダブリュやパナソニック,富士通テンなどが対応する意向を示しているという。携帯電話機としては,Bluetoothに対応し,EZナビウォークを搭載した端末であれば使える。「サービスを開始するころには,20種類程度の端末が対応する見込み」(KDDI)とする。

 トヨタ自動車は狙いとして「さまざまなコンテンツ・プロバイダーやカーナビ・メーカーにこのプラットフォームを使ってもらうことで,カーナビの使い勝手を広げること」を挙げた。ナビタイムジャパンは「ユーザーの利便性を広げることで,EZナビウォークの利用者を増やすこと」,KDDIは「EZナビウォークの利用価値を高めることで,au端末の利用価値を上げること」をそれぞれ狙っているという。

 開発したプラットフォームの特徴は,認証機能を設け,あらかじめ決めたカーナビのみに情報を送信できるようにしたこと。「情報の送信先を限定することで,情報の権利を有したコンテンツ・プロバイダーに安心して使ってもらうため」(トヨタ自動車)である。KDDIが認証のための専用サーバーを設置した。専用サーバーには,送信可能なカーナビなどの情報が登録されている。

 このプラットフォームを使うには,情報を送信するためのアプリケーションをユーザーが携帯電話機にダウンロードする必要がある。具体的なデータのやり取りは以下のようになる。まず,ユーザーがEZナビウォークで目的地などを検索し,その結果が携帯電話機に表示される。この表示結果に,カーナビに情報を送信するためのメニューが追加されている。ユーザーがそのメニューを選択すると,情報送信用のアプリケーションが起動し,携帯電話機からKDDIの専用サーバーにアクセスする。専用サーバー側ではカーナビに送信可能な情報かどうかを判断する。送信可能な情報であれば,情報送信用のアプリケーションにより,Bluetoothを介してカーナビに送信する。サービスを使うための「追加料金は発生しない見込み」(ナビタイムジャパン)である。

 2009年上期から始めるサービスでは,携帯電話機からカーナビに位置情報を送信するだけの一方向の通信しか対応していない。これについては今後,「双方向の通信(カーナビから携帯電話機)もできるようにしていきたい」(KDDI)とする。

 プラットフォームの開発に要した期間は約1年だという。開発の分担としては,KDDIとナビタイムジャパンが,携帯電話機からカーナビに情報を送信するための認証機能や情報送信用のアプリケーション,送信情報のデータ・フォーマットなど,トヨタ自動車は受信した情報をカーナビ側で処理するシステムを開発した。開発に時間がかかったのは,「主に携帯電話機からカーナビに送信する情報の権利関係などを調整し,それに基づいて認証機能を開発することに時間を要したから」(ナビタイムジャパン)である。

 なお,ナビタイムジャパンは自動車向けの経路案内サービスとして「助手席ナビ」を展開しているが,「今回のサービスが,助手席ナビと競合することはない」(ナビタイムジャパン)とする。「助手席ナビは主に,カーナビを持っていないユーザーが使うサービス」(同社)だからである。