Blu-ray Disc(BD)録画機とその記録媒体を私的録画補償金制度の対象機器に加えるいわゆる「Blu-ray課金」の2009年4月1日の実施が極めて困難な状況になっている。本誌の取材で明らかになった。

 文化庁はBlu-ray課金の実施に向け,2009年2月3日に「著作権法施行令の一部を改正する政令案」を公表し,3月4日まで意見を募集していた(Tech-On!関連記事1同2)。政令案に意見を反映して正式な政令案にした後,関連する他の省庁との折衝(各省協議)と閣議決定を経て,4月1日付けで施行される予定だった。

 ところが,3月19日現在でこの政令案は各省協議に入れていない。関係者によると「年度末を迎え,内閣法制局の審査が混み合っており,正式な政令案ができていないため」だ。4月1日に実施するためには遅くとも1週間前の3月24日に閣議決定する必要があるが,このスケジュールの実行は現状でほぼ絶望的だという。ただし,今のところ文化庁は,Blu-ray課金の早期実施をあきらめていないもようだ。

 Blu-ray課金は,2008年7月に実施された地デジの新しい録画ルール「ダビング10」の導入の過程で,当時の文部科学大臣と経済産業大臣の合意という形で,実施が約束された政策である。だが,デジタル放送の録画を課金の対象にするかどうかなどを巡って,権利者と機器メーカーの間に激しい意見対立があり,これまで実施が先送りにされてきた経緯がある。