東洋紡は,強度と剛性,耐衝撃性に優れるガラス繊維強化ポリアミド樹脂「JF-30G」を開発した。従来のガラス繊維強化ポリアミド樹脂と同様の成形性を備えるため,軽量化の要求が高まる自動車部品やモバイル機器の筐体などへの適用が期待できるという。

 同社の樹脂設計技術とコンパウンド技術を応用することで,新製品では「世界最高レベル」(同社)の強度・剛性・耐衝撃性を実現した(図)。同樹脂を使うことにより,金属に比べて厚みを最小限に抑えながら軽量化できる。従来のガラス繊維強化ポリアミド樹脂と比較すると,軽量化と薄型化が可能だ。強度と剛性,耐衝撃性は,炭素繊維強化樹脂に匹敵するという。

 従来のガラス繊維強化ポリアミド樹脂と同等の成形性を持つので,従来の射出成形機で成形できる。金属を加工する場合や炭素繊維強化樹脂を製造する場合に比べて成形が容易で,コストを削減できる上,製造時の二酸化炭素排出量も減らせる。さらに,設備投資や条件検討にかかる費用負担が小さく,開発速度を向上させられるのが利点とする。

 23℃の室内に放置したときの吸水率は0.6%。従来のガラス繊維強化ポリアミド樹脂に比べて吸水率が低く,物性の温度依存性,ソリ変形も少ない。

 既に,自動車部品メーカーを中心に国内外でサンプルワークを開始し,ユーザー評価を受けているという。本生産が可能な体制も整っており,2015年度に80億円の売上高を目指す。

図◎新開発のガラス繊維強化ポリアミド樹脂「JF-30G」と従来製品,金属などとの強度・剛性・耐衝撃性の比較。
図◎新開発のガラス繊維強化ポリアミド樹脂「JF-30G」と従来製品,金属などとの強度・剛性・耐衝撃性の比較。
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