北米のテレビ市場における平均販売価格の推移
北米のテレビ市場における平均販売価格の推移
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北米のテレビ市場における販促製品数の変化
北米のテレビ市場における販促製品数の変化
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 調査会社の韓国Displaybank Co., Ltd.は,景気後退にも関わらず,北米市場のテレビの平均販売価格が,2009年2月に再度上昇を始めたと発表した(発表資料)。北米市場におけるテレビ受像機の平均販売価格は,2008年末に始まった大々的な販促活動によって5%ほど下落していたものの,2009年2月に上昇傾向に転じた。2009年2月のテレビの平均販売価格は,液晶テレビが1256米ドルで,PDPテレビが1246米ドルである。特に,これまでPDPテレビは,液晶テレビに比べて積極的な価格攻勢をかけていたため,際立った価格の回復が見られたという。液晶テレビに関しては,46型以上の大型製品が売れたために回復したとする。

 価格が上昇に転じた背景には,急速な価格下落によって,テレビの平均販売価格が底を打ったため,北米市場のテレビ販売台数が当初の予想を上回ったことや,メーカーの在庫処分が速やかに進んだことなどがあるという。このため,在庫負担が減少したメーカーはさらなる価格切り下げをせずに,現在まで販売を続けているという。予想を上回るテレビの販売台数によって,2009年2月に販売促進活動の対象となった機種の総数も,前月と比べて約12%減少した。一部の製品は,通常需要が低迷する2月に供給不足になったという。北米市場のテレビの販売台数は好調に推移しており,景気後退の影響をほとんど受けていないように見える,とDisplaybank社は説明している。

 北米市場の販売好調の要因には,在庫の減少や,政府が地上デジタル放送対応テレビの購入支援プログラムを実施したこともあるという。Displaybank社によれば,中国や日本,台湾など北米以外の政府も,同プログラムを採用する可能性があるとする。ただし,「このようなプログラムがすべての国にとって有益というわけではない」と同社は指摘する。台湾市場は政府の支援プログラムにも関わらず,依然厳しい状況が続いており,米政府もさらなる予算を確保することが難しいため,地上デジタル放送対応テレビ購入用クーポンを発行するのに苦労しているという。このような状況を防ぐため,同プログラムの導入には,販売数量が伸びる季節に合わせて期間を決めることや,対象製品を減らして,効果的な製品に予算を集中させることが重要と分析する。