4×4 MIMOを用いた伝送のイメージ図
4×4 MIMOを用いた伝送のイメージ図
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 富士通と富士通研究所は,NTTドコモと共同で,北海道札幌市のユビキタス特区において,LTE(Long Term Evolution)のフィールド実証実験を実施したと発表した(発表資料)。

 今回実験したのは4×4 MIMOを用いた通信。Pre-codeing MIMO技術を使ってスループット特性を評価し,10MHzの周波数帯域幅で,下り方向最大120Mビット/秒の高速伝送ができることを確認したという。これは,20MHzに換算すると,最大240Mビット/秒のスループットに相当するとする。Pre-codeing MIMOは,端末の受信状況を無線基地局にフィードバックして最適なMIMO伝送を行う技術。加えて,屋外伝搬環境で安定したスループットを実現する上で,MIMO多重数の適応的な切り替えが有効であることを確認したという。今回の実験成果は,富士通の無線基地局装置やコア・ネットワーク・システム,端末装置といったLTEの商用システムに活用する予定。

 実験には,NTTドコモと富士通,富士通研究所が共同で開発した「LTE無線基地局装置」の試作機を利用した。富士通および富士通研究所は,NTTドコモのLTE無線基地局装置の開発・製造メーカーに選定されて以来(Tech-On!の関連記事1),NTTドコモと共同で技術開発を進めてきた。これまでに20MHzの周波数帯域幅で,下り方向の伝送速度が1セクター当たり300Mビット/秒の,4×4 MIMOを用いた3セクター構成のLTE基地局装置の試作に成功している(同2同3同4)。

 なお,富士通と富士通研究所は,NTTドコモは,今回の実験の成果の一部を2009年3月17日から愛媛大学で開催される「電子情報通信学会 2009年総合大会」で発表する予定である。