今週のランキングで筆者の目を引いたのは,日経エレクトロニクスのブログです。いわく,「欲しいもの,ありますか?」。言葉を換えれば,今ある製品に十分満足していて,もはや付け加えることがないと。まさかそんな。ご冗談でしょう?

 私が今,切実に欲しいのは,ちゃんと動くパソコンです。ネットで注文したA社のパソコンが,三日前ようやく家に届きました。これほど心待ちにしていたのは,前から使っていた機種の動作があまりにも遅くなったからです。なぜだか分かりませんが,ちょっとマウスを動かしただけで,ぐるぐる回る色鮮やかなアイコンが画面に現れ,何も操作できなくなってしまうのです。「これはいかん」と試しにキーを連打してみると,突然我に返ったパソコンが,忘れたころに律儀に反応したりして,一向にやりたいことができません。

 このメーカーの製品には,前に使っていたパソコンからデータや設定を移行してくれる機能があります。届いたパソコンに電源を入れると,程なくこの機能が立ち上がり,無線LAN経由で思いのほかスムーズに,前からあるパソコンに繋がりました。さすが,使いやすさに定評あるA社。

 ところが,ここからが大変でした。作業の終了まであと8時間の表示を確認し就寝。夜中に尿意を催して起きてみると,あろうことか古い方のパソコンの画面がスクリーン・セーバーになっているではありませんか。1度目のトライアルは,これでおじゃんです。2度目は終了まであと2時間まで来たところで,原因不明のネットワーク障害が発生。今度こそと決意も新たに臨んだ3度目。早朝,どうにも気になって目が覚めると,終了まであと1時間あまり。気もそぞろに何度も確認し,通常起床する頃合いになって,ついに「残り1分以内」の表示が。いーち,にーい,と思わず心の中でカウントダウン。ところがです。この一分が,十分たっても二十分待っても終わりません。業を煮やして,あれやこれやといじっていたら,またしてもエラー。一からやり直しです。

 パソコンが世に出て30年がたちました。それでも,古いパソコンから簡単にデータを移すことさえできません。これからネットワークに繋がるテレビでも,きっと同じことが起こります。それどころか,クルマなんて,T型フォードから100年以上たった今でも事故が絶えない有様です。理系離れだなんだと言いますが,これほどやるべきことが山積みの業界もないんじゃないでしょうか。

ニュース(3月9日~13日)