市場調査会社の米International Data Corp.(IDC)は,2009年の携帯電話機の世界出荷台数が前年実績を8.3%割り込むとの予測を発表した(発表資料)。2008年は通期では前年比4.3%増と成長基調を維持したものの,10月~12月期に限れば前年同期比11.6%減と落ち込んだ。ホリデー・シーズンの10月~12月期は,過去6年にわたって2ケタの成長率を示してきただけに,2008年秋以降に受けた経済危機の影響の強さがうかがわれる。

 IDCは,特に日本や米国,西欧などの成熟市場で需要が大きく落ち込むと予測する。これらの成熟市場向けの出荷台数は2009年を通して前年比24.6%から12.4%程度の減少になる見込みという。これまで高い伸びを示していた新興市場のBRICsも,2009年の成長率は0.3%にとどまるとIDCは予測した。インドは好調を維持しているものの,ロシアの個人消費が冷え込んでいるという。

 ただし,携帯電話機の世界市場はいまだ成長の余地を残しており,2010年上期には市場の回復が始まるとIDCはみている。2010年の出荷台数は前年比9.5%増を見込む。

 スマートフォンの市場に限ると,不況を脱すれば成長率は再び2ケタに乗るとIDCは予測する。2008年の成長率21.9%に対して2009年は3.4%にとどまる見込みだが,2010年には22.2%へ回復するとした。米Apple Inc.の「App Store」のような専用アプリケーションのダウンロード・サービスの充実が,スマートフォン市場の伸びに寄与するという。