セイコーエプソンは,2009~2011年度の中期経営計画を策定し,半導体の国内工場である富士見事業所(長野県諏訪郡)の閉鎖などを発表した(発表資料1)。中期経営計画では,不採算事業の縮小と成長事業への注力を通じ,2009年度に赤字を解消,2010年度には利益を上げるとの目標を掲げている。

 エプソンは同社が手掛けるうち不採算の事業として半導体,中・小型液晶パネルを挙げる。ASICやマイコン,制御用ICなどを手掛ける半導体事業は,液晶ドライバICの需要減やSiファウンドリー事業の受注減などで採算が悪化。国内工場2カ所のうち富士見事業所を閉鎖し,酒田事業所(山形県酒田市)に製造を集約する。従業員はプリンタや水晶デバイスなどの成長分野へ配置転換するなどして削減する。

 中・小型液晶パネル事業では,同事業を手掛ける100%子会社のエプソンイメージングデバイスの岐阜事業所(岐阜県安八郡)を2009年度上期(4月~9月)中に閉鎖し,国内工場を鳥取事業所(鳥取県鳥取市)1カ所に集約する。また,現在のエプソンイメージングデバイス本社(長野県安曇野市)から本社機能を鳥取事業所に移管する。エプソンイメージングデバイスでは,2008年3月末時点で従業員を前年度の2/3程度となる1600人まで減らしている。今後はさらにエプソン・グループの成長分野への再配置などを通じて人員規模を縮小するという。

 エプソンは,今後成長が見込める分野として,プリンタ,プロジェクタ,水晶・センサを挙げた。この水晶・センサ事業の強化に向けて,水晶デバイス事業などを営む連結子会社のエプソントヨコムを完全子会社化する。持株比率を現在の66.69%から100%へ高め,経営の迅速化を図るとした。エプソントヨコム株の公開買付は2009年3月12日に開始する。買付代金は117億5100万円になる見込み。

 なお,エプソンは中期経営計画と同時に2008年度の業績予想修正を発表した(発表資料2)。売上高や営業損益は前回予想を据え置くが(Tech-On!関連記事),純損失は前回予想の40億円に対し1000億円へ大幅に下方修正した。電子デバイス事業(液晶パネル事業や半導体事業,エプソントヨコムの事業)の構造改革費用と減損損失で合計662億円の特別損失を追加計上することが主因という。