ETechの基調講演で話すTim O’Reilly氏
ETechの基調講演で話すTim O’Reilly氏
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O’Reilly氏が指摘する現在の問題点
O’Reilly氏が指摘する現在の問題点
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米連邦政府のCIOに選択されたVivek Kundra氏が担当したワシントンDCのWebサイト
米連邦政府のCIOに選択されたVivek Kundra氏が担当したワシントンDCのWebサイト
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 「我々の業界の優れた人たちは最近,あまりにも価値のない仕事をやり過ぎている。例えば,Facebookにあまり役に立っていないアプリケーションを追加するような仕事だ。もっと深く考えて,価値のある仕事に注力せよと皆に言いたい」。米O'Reilly Media Inc.が主催する展示会「Emerging Technology Conference(ETech)」の初日,基調講演に立った同社Founder & CEOであるTim O’Reilly氏はこのように述べた。O’Reilly氏は,あまり意味がない広告のビジネス・モデルでお金儲けする方向に走り過ぎているのが,現在のこの業界の問題と主張した。リーマン・ショックは単なる投資バブルの問題ではなく,多くの社会的な課題を内包しているという認識を示し,技術者はこうした課題の解決に向け,モチベーションを高める仕事を探すべきと,ETechに集った技術者を挑発した。

 O’Reilly氏は,具体例として環境問題の解決に向けた技術を開発する企業をいくつか紹介した。その一つが,電気自動車向けの電池交換インフラを手掛ける米Project Better Place社(Tech-On!関連記事)。O’Reilly氏は,ドイツSAP社の元幹部という同社のFounder and CEO Shah Agassi氏の経歴を強調し, Agassi氏がイスラエルのShimon Peres大統領を出会った後,何が起きたかを改めて語った。「Agassi氏に対してPeres氏は,『ソフトウエア企業の幹部の仕事は本当に重要なのか』と問い返した」(O’Reilly氏)。

さらにO’Reilly氏は,米ワシントンDC市を訪問したことで,政府がもっと効率高く社会問題を解決するためには,ITなどの先端技術を駆使すべきだと痛感したと述べた。そこでこうした技術を,今回のETechのテーマの一つにすると報告した。O’Reilly氏はまた,Obama大統領が米連邦政府のCIOとして選択した元ワシントンDC市のCTO Vivek Kundra氏を「素晴らしい人」(O’Reilly氏)と賞賛し,Obama大統領を「我々の最初のインターネット大統領だ」と評価した。さらに,今後2年間は米国政府をもっとオープンにさせる重要な機会となると指摘し,この作業を支援するようにアピールした。