オムロンは2009年3月10日,液晶テレビ用バックライト事業からの撤退などの構造改革を発表した(発表資料)。世界不況に伴う業績悪化への対策として,事業と拠点の再編に着手する。

 液晶テレビ用バックライトは,個人消費の低迷に伴って液晶テレビの売り上げが伸び悩んだこともあり価格競争が激化,収益が悪化し事業の継続が困難になったという。同事業を営む3拠点は2010年度中に清算する。中国Tama Fine Opto (Changshu) Co., Ltd.は近く清算手続きに入り,多摩ファインオプト(神奈川県川崎市)と台湾Tama Fine Opto Inc.も2009年9月末までに解散する。多摩ファインオプトの従業員38人(すべて正社員)については,グループ内での再配置を進めるとともに,希望者には再就職支援を行うという。

半導体事業は野洲に集約

 また,半導体の設計・開発・生産を担ってきたオムロン水口工場(滋賀県甲賀市)を2009年6月に閉鎖する。野洲事業場(滋賀県野洲市)に生産を移管し,半導体拠点を1カ所に絞り込む。短期的には需要の減退に合わせて生産規模を縮小する狙い。長期的には,MEMS事業を拡大する経営方針に対して水口工場は拡張の余地がないため,野洲事業場で効率的に事業拡大を図るとした。

 従業員は正社員95人と派遣社員83人。正社員は,無線タグ事業を手掛ける一部人員は草津事業所(滋賀県草津市)に,それ以外の人員は野洲事業場に移る。派遣社員も一部は野洲事業場/草津事業所で雇用を継続。契約期間中の解雇はしない方針という。

車載電装部品の英国拠点も閉鎖

 オムロンはさらに,スイッチやコントローラなど車載電装部品の生産拠点である英Omron Automotive Electronics UK Ltd.を2011年3月末までに閉鎖する。車載電装部品事業は,自動車市場の急激な冷え込みで収益が悪化。生産拠点の整理を検討する中で英国拠点は,顧客メーカーの東欧へのシフトや,製造コストが他地域より高いといった事情もあり,閉鎖を決めたという。