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 パナソニックは,2009年7月までに発売するレンズ交換式カメラ「DMC-GH1」を「PMA」で公開した。1080/24pまたは720/60pのAVCHDに対応したHD動画を記録できる。本機でHD動画を復号化(再生)したときには「1080/60iの映像をテレビに送り出す」(説明員)。DMC-GH1が採用した高画質化などを担うSoCのハードウエアと,撮像素子の画素構造は,「DMC-G1」と同じである。

 展示されていたDMC-GH1(試作機)には,動画撮影時のオートフォーカス(AF)に,ユーザーがあれっ?と思うような仕様があった。具体的には,動画ボタンを押して撮影を始める → ズーム・リングを回す → ピントを合わせてくれない,という現象である。

 これを回避する方法は二つある。

(1)ズーム・リングを回した後にシャッター・ボタンを半押ししてピントを合わせ直す。
(2)動画ボタンを押す前に,カメラの左肩(筐体上部左)にあるAFモード・ダイヤルをAFC(ビデオ・カメラのように被写体が変わる度ピントを合わせ続ける)にあらかじめ合わせておく。

 (1)は,AFS(シャッター・ボタンを押したときだけピントを合わせる)を実行することを意味し,映画のような作品作りをするには好都合である。例えば,手前にいる男性が話している間は男性に,奥の女性が話し始めると女性にピントを合わせるといった演出ができる。ただし,ユーザーが動き回る子供をズームしながら追いかけるといった撮り方には合わない。

 そんな場合には上記の(2)がよいのだが,スチル・カメラのユーザーは通常AFSで撮っている。つまりユーザーは,動画ボタンを押す前に,AFモード・ダイヤルをAFCに切り替えることを忘れないように注意しなければならない。ただし,展示機を試す限り,AFCのピント精度はあまり高くないようだ。

 ダイヤルを切り替える手間が,仮にユーザー体験を悪くするものだとすれば,対策はハッキリしている。動画ボタンを押すと同時に,AFモード・ダイヤルがAFSを指していようと,AFCに切り替えてしてしまうことだ。そしてAFモード・ダイヤルは静止画専用です,とユーザーに言い切ることである。

 では,AFCへの自動切り替えは追加されるのか,パナソニック・ブースで聞いたところ二種類の回答があった。それを否定した答えと,現状が最終仕様ではないという肯定も否定もしないものである。

 いずれが正解なのかは分からない。しかし興味深かったのは,否定した人の補足説明である。前例のないオートフォーカス開発の難しさを表していたからだ。

 まず,DMC-GH1は4/3型の撮像素子を搭載する。2/3型の撮像素子を使う放送用カメラなどに比べると被写界深度がずっと浅い。このためピントを自動的に,動画を見る人に不快感を与えずに合わせ続けることが難しい。

 さらに,DMC-GH1のAFは,静止画用であるDMC-G1のAFに変更を加えるかたちで作られた。DMC-G1のAFはAFS時に大変精度が高いが,これは静止画撮影だから許される動作,すなわち急なピント位置の変化や微妙なふらつきを経て実現されている。これらを取り除きAFCでも高いピント精度を達成するには「まだ時間が必要だ」(AFCへの自動切り替えを否定した説明員)という。