米National Semiconductor Corp.は,太陽光発電システムの施工企業を対象とした,太陽光発電システムへの日陰の影響に関する受け止め方の調査結果を発表した(発表資料)。それによると,太陽光発電システムにできる日陰によって,施工企業は契約の機会を減らしていることが明らかになったという。この調査は,同社が太陽光発電システム施工企業150社を対象に,2009年1月に電話インタビューを行ったもの。調査はGreenberg Quinlan Rosner Researchに委託した。

 調査によると,施工企業の54%は太陽光発電システムを住宅および商業施設の屋根に敷設する場合,どんな日陰も受け入れられないと考えていたという。

 太陽光発電システムの販売または敷設の際に,日陰の問題に直面した施工企業は41%で,このうちの87%は「頻繁に」あるいは「常に」日陰を避けた設計を実施しているという。また,28%の施工企業は,太陽光発電施設の敷設が不可能という内容を,「頻繁に」あるいは「常に」住宅所有者に伝えているとする。

 太陽電池アレイの敷設に関しては,日陰になりやすい屋根の場所を回避するため,より小型の太陽電池アレイを敷設しなければならない事例が頻繁に発生しているという。施工企業の約1/3は,日陰を避けた設計がシステム・コストの増大を招くと考えており,多くの施工企業は,それによって「時間的な損失を余儀なくされている」と答えたとする。

 施工企業は,日陰によって発生するこれらのコストを消費者に転嫁できず,しばしば自己負担しているため,「日陰の主な犠牲者となっているのは,太陽光発電システムの施工企業やインテグレーター」とNational Semiconductor社は分析する。施工企業は,日陰による施工時間やコストの増大のほか,施工現場の屋根に日陰が多い場合に潜在的な顧客を失うという問題を抱えているとする。

 National Semiconductor社は,こういった日陰の問題の回避を可能にする技術「Solar Magic」を,2009年春に発表する予定である(Tech-On!の関連記事同2)。Solar Magicは太陽光発電システムの発電性能を高める技術。日陰によってこれまで太陽光発電システムを設置できなかった屋根にも,太陽電池アレイの敷設を可能にするという。