二階俊博経済産業省相は2009年2月24日の記者会見で,太陽光発電による電力を電気事業者が1kWh当たり50円弱という高値で買い取ることを義務付ける仕組みを検討していると発表した。

 同制度の詳細はこれから検討して決めるというが,電力会社の負担分は一般の電気料金への上乗せでカバーするという点で,欧州を中心に広がっている「Feed-in Tariffs(FIT)」制度と基本的に同じである。経産省は今国会中に法案を提出し2010年にも実施する方針で,さらに「(少なくとも)予算がついている2010年度末までは家庭向け太陽光発電システムの設置補助金制度と併用する」(経産省)としている。早くシステムを導入するほど大きいメリットを得られる格好だ。

 当初の買い取り額は,現時点の電力料金の2倍程度,すなわち48円/kWh前後になる見込み。買い取りを義務付ける期間は約10年である。

償却期間は半減の約10年か

 仮に最大出力が4kWの太陽光発電システムを設置した場合,1年間の発電量は約4200kWh(稼動率0.12で計算)。これをすべて電力会社が48円/kWhで買い取ると,買い取り額は約20万円/年となる。

 設置補助金制度は,システムの購入時に最大出力1kW当たり7万円,つまりシステム価格の1割超を国が負担するものとなっている。この制度を利用すると,60万円/kWのシステム4kW分が210万円程で設置可能となる。

 つまり,FITの電力買い取り制度と併せると,およそ10年で初期費用がほとんど償却できる計算で,従来20年超かかっていた時間を半減できる。実際には,FITの買い取り価格は年を追うごとに下がる可能性があり,しかも太陽光発電による電力の一定量は家庭内で利用するため,償却にかかる期間はこれより長くなる可能性がある。

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