前回の記事:【写真で見るDIGIC 4】その1,まずはカメラ本体をばらす

 いよいよ「DIGIC 4」を見てみる。実際の調査は,ヴァン・パートナーズが前回の記事に記した同型機から取得したDIGIC 4に対して実施した。

 DIGIC 4は,PoPと呼ばれる構成を採っており,二つの半導体パッケージを重ねている。X線を用いて半導体パッケージの内部をうかがってみると,上のパッケージがチップを2枚内蔵していることが分かった。

X線で撮影した半導体パッケージの内部
X線で撮影した半導体パッケージの内部 (画像のクリックで拡大)

 そこで上のパッケージを薬液で除去し,チップを露出させた。

上部パッケージに格納されていたメモリ。上(中央)部にあるのがNOR型フラッシュ・メモリ,下部にあるのはSDRAM。
上部パッケージに格納されていたメモリ。上(中央)部にあるのがNOR型フラッシュ・メモリ,下部にあるのはSDRAM。 (画像のクリックで拡大)

 出てきたのは韓国Samsung Electronics Co., Ltd.製の2種類のメモリである。上側のチップはNORフラッシュ・メモリ「K8P6415UQB」で,容量は64Mビット。寸法は6040μm×3910μm×80μm。下側はSDRAM「K4X51323PE」で,512Mビット。寸法は8220μm×7545μ×110μmだった。

 今度はPoPの下部パッケージの除去に取りかかる。DIGIC 4の本体というべき,こちらのチップ寸法は7980μm×6370μm×105μmだった。

上部パッケージをはがすとDIGIC 4が現れる。写真で見えている面にはバンプが160個ある。いずれもメモリを格納した上部パッケージとの接続用である。バンプのピッチは0.5mm。
上部パッケージをはがすとDIGIC 4が現れる。写真で見えている面にはバンプが160個ある。いずれもメモリを格納した上部パッケージとの接続用である。バンプのピッチは0.5mm。 (画像のクリックで拡大)

 現れてきた配線層をはがし,

配線層を観察。パッド数は463個だった。
配線層を観察。パッド数は463個だった。 (画像のクリックで拡大)

 回路ブロックを観察した。ロジック部のゲート数は概算で1800万ゲートあった。

ロジック部とアナログ部をそれぞれ黄緑色と青色の線で囲んだ。写真中の数値の単位はμm。メモリ部は次の写真で示す。
ロジック部とアナログ部をそれぞれ黄緑色と青色の線で囲んだ。写真中の数値の単位はμm。メモリ部は次の写真で示す。 (画像のクリックで拡大)

 メモリ容量は概算で合計2.96Mビットだった。

メモリの配置。SRAMは3種類あった。それぞれ赤,青,黄緑で色分けしている。フラッシュ・メモリもあった。写真右下の薄い赤色の部分である。
メモリの配置。SRAMは3種類あった。それぞれ赤,青,黄緑で色分けしている。フラッシュ・メモリもあった。写真右下の薄い赤色の部分である。 (画像のクリックで拡大)

 SEM(走査型電子顕微鏡)で配線層の総数やゲート長も見た。配線の材料は最上位の7層がAlで,1~6層がCuである。

SEMで断面を観察。最上層のAlはこの写真に写っていない。
SEMで断面を観察。最上層のAlはこの写真に写っていない。 (画像のクリックで拡大)

 ゲート長の計測結果から,カメラ業界でのうわさ通り,DIGIC 4は65nmルールを採用していることが確認できた。

ロジック部のゲート長は49~58nmだった。
ロジック部のゲート長は49~58nmだった。 (画像のクリックで拡大)

 

3種類のSRAMの中でも,最も容量が大きかったSRAMのSEM像。ゲート長は67~80nmだった。
3種類のSRAMの中でも,最も容量が大きかったSRAMのSEM像。ゲート長は67~80nmだった。 (画像のクリックで拡大)

 次回はDIGIC 4の物理的な仕様をまとめると共に,それを前世代のDIGIC 3と比較する。

【写真で見るDIGIC 4】その3,DIGIC 3と見比べてみる

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