米Dassault Systemes SolidWorks社は,3次元CAD「SolidWorks」の次期版「SolidWorks 2010」に現時点で実装予定の機能の幾つかを公表した。比較的細かな,操作性を向上させる機能強化が中心。日本国内ユーザーから出された,図面作成機能についての強化も含まれる。SolidWorks 2010は2009年秋に出荷開始予定。以下,主なものを列挙する。

ミラーコピー機能の強化 ミラーコピー機能は左右対称な部品をモデリングする際に使う機能だが,アセンブリをミラーコピーする場合はすべての部品を対称にするとは限らず,同じ形状のまま向きを変えて使いたい部品もある。これの制御を可能にする(向きも変えないし対称にもしないねじのような部品については,従来版から対称にするのを抑制する機能があった)。また,パターン(同じ形状の穴を複数配置するような場合)の一種として扱えるようにして,左の部品が周囲の部品に対して持っていた合致条件(ねじ穴の一致など)をコピー後の右の部品でも維持できるようにして,従来版のように合致条件を付け直す手間を省けるようにする(図1)。

図1●ミラーコピー機能で,一部の部品を対称にせず向きを変えて使いたい場合などに対応する
図1●ミラーコピー機能で,一部の部品を対称にせず向きを変えて使いたい場合などに対応する (画像のクリックで拡大)

最適化機能の強化 従来版でもFEM(有限要素法)での解析計算の結果に応じて,最適な形状を求める機能はあったが,この機能でFEMの結果だけでなく質量,重心といった形状に関する情報を変数として扱えるようにする。さらにこれらの変数を一括で管理,制御する表形式のユーザー・インタフェースを新設する(図2)。

図2●画面下方の表で,最適化計算の際に変化させたいパラメータとその値などを管理できる
図2●画面下方の表で,最適化計算の際に変化させたいパラメータとその値などを管理できる (画像のクリックで拡大)

マルチボディの板金部品 一つの部品の中に複数の固まりを許すマルチボディ機能において,板金部品も扱えるようにする(図3)。これまではマルチボディで定義した形状を板金部品にするとき,固まりごとに部品に分けて,アセンブリとして扱う必要があったが,これを解消する目的。また,展開状況をプレビューできる機能を加えるほか,加工を外注する場合などに展開形状をDXF(Drawing Interchange File)形式で出力する際,輪郭線だけを残して折り曲げ線は消すといった細かい調整を自動で処理できるようにする。

図3●マルチボディ部品をそのまま板金部品にできる
図3●マルチボディ部品をそのまま板金部品にできる (画像のクリックで拡大)

参照平面の定義機能の強化 参照平面(モデリングの途中にスケッチを描く面や,合致条件を定義する面などを空間内に新たに定義する場合に作成する仮の面)の定義方法を強化。例えば円柱面に対して接する面,二つの面の「2等分線」に当たる面,ある面に対して角度を持つ面などを参照平面として定義する際,二つ三つの参照平面を経由することなく,1回の操作で最終的に必要な参照平面を得られるようにする(図4,5)。

図4●二つの円筒面に接する参照平面を直接作成可能。画面左の欄で条件を指定していく
図4●二つの円筒面に接する参照平面を直接作成可能。画面左の欄で条件を指定していく (画像のクリックで拡大)

図5●青色の面と,赤い縁取りの面との「2等分面」
図5●青色の面と,赤い縁取りの面との「2等分面」 (画像のクリックで拡大)

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