改善策を発表する,日産自動車代表取締役会長兼社長でCEOのCarlos Ghosn氏
改善策を発表する,日産自動車代表取締役会長兼社長でCEOのCarlos Ghosn氏
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 日産自動車は2009年2月9日,世界同時不況の影響を受け,新たな改善策を実施することを明らかにした。進行中の中期経営計画「GT2012」は中断し,「利益の改善」「キャッシュの確保」「仏Renault社とのシナジーの徹底」の三本柱から成る活動を行っていく。

 「利益の改善」に関しては,「迅速かつ大幅な原価低減」(同社代表取締役会長兼社長でCEOのCarlos Ghosn氏)で実現する。この原価低減には,労務費や購買コストの削減も含まれる。

スポーツ活動はすべて休部へ

 労務費は,日本,米国,欧州などの高コスト国における労務費を2008年度の8750億円から2009年度は7000億円に引き下げる。例えば取締役と執行役員の報酬を2009年3月から明らかに状況が改善したと分かるまでの間10%引き下げるほか,2009年3月から日産自動車および国内関係会社の全管理職の基本年俸を5%引き下げる。また,取締役に対しては2008年度は賞与を支払わない。

 国内の一般従業員に対しても,労働時間を短縮することにより,実質的な賃金の抑制を行う。現段階では時間外労働は2008年度当初に比べて30%短くなっており,2009年度にはさらに75%短くするという。

 従業員を対象にワークシェアリングの導入も検討する。「状況がさらに悪化した場合には実行することになる」(Ghosn氏)という。

 さらに,全世界の従業員数を現在の23万5000人から2010年3月までに2万人減らし,21万5000人以下とする予定。状況の深刻度によっては「追加対策」も実施する。また,企業スポーツ活動(硬式野球部,卓球部,陸上部)は休部とし,選手は社内の部署に配属されるという。

2012年度までの新車投入数は60車種から48車種へ

 「キャッシュの確保」に関しては,稼働時間の短縮や休業などにより生産調整を進めることで在庫を減らすほか,設備投資を延期・縮小する。具体的には,インドのチェンナイ工場について,当初2ラインが稼働する予定だったのを当面1ラインのみで生産し,需給バランスを調整する。また,モロッコにおける工業プロジェクトへの参画を一時中断する。さらに,2012年度までの新車投入は,当初予定の60車種から48車種に減らす。

 「仏Renault社とのシナジーの徹底」に関しては検討中であり,詳細は2008年度通期の決算発表時に公表する予定だという。