パナソニック取締役の上野山 実氏
パナソニック取締役の上野山 実氏
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 パナソニックは2009年2月4日,2008年度第3四半期(2008年10~12月)の連結決算を発表した。売上高は1兆8799億円(前年度同期比19.8%減),営業利益は264億円(同84.0%減)となり,大幅な減収・営業減益となったものの,営業黒字は確保した。ただし,製造拠点の統廃合など構造改革による営業外費用を計上したことで,当期純損益は631億円の損失(前年度同期は1152億円の利益)となり,最終赤字となった。

すべての事業セグメントで減収,営業減益・赤字化

 事業セグメント別に見ると,すべての事業セグメントで減収となったほか,営業減益または営業赤字転落となっている。

 テレビなどのAV商品を扱うデジタルAVCネットワーク事業の業績は,売上高が9373億円(前年度同期比22.4%減),営業損益が49億円の損失(前年度同期から892億円の悪化)だった。テレビは,販売台数では前年度同期を上回っているものの,販売金額では下回っており,急速な価格下落の影響を受けた。特に大型のプラズマテレビで売り上げの落ち込みが激しい。逆に,プラズマテレビより小型の液晶テレビでは前年度同期比で増収となっている。それ以外の商品では,DVDレコーダーが横ばい。比率的に落ち込みが目立つ商品は,デジタル・ビデオ・カメラ,音響機器,デジタルカメラである。

 白物家電を扱うアプライアンス事業の業績は,売上高が2920億円(前年度同期比13.9%減),営業利益が182億円(同29.7%減)だった。全体の営業利益が大幅に落ち込んだ中,同事業は減益とはいえ比較的堅調であり,今後も安定した収入・利益が見込めると,同社取締役の上野山 実氏は語る。

 半導体や電子部品を扱うデバイス事業の業績は,売上高が2783億円(前年度同期比22.1%減),営業利益が50億円(同82.0%減)だった。ここ最近になって急速に販売価格が下落している影響が大きいという。特に電子部品の売上高は前年度同期比34%減と大きく落ち込んでいる。

第1~3四半期累計では営業黒字・最終黒字を確保

 次に,2008年度第1~3四半期(2008年4~12月)累計の業績は以下の通りである。売上高は6兆2237億円(前年度同期比9.4%減),営業利益は2545億円(同34.0%減),当期純利益は654億円(同70.3%減)となり,営業黒字・最終黒字を確保した。

 減収幅は6462億円である。そのうち日本ビクターが2007年8月に連結対象から外れたことによる影響が1805億円,為替変動による影響が3392億円だった。こうした影響を除く「実質ベース」では,前年度同期比1.9%の減収だったという。

 営業減益幅は1309億円である。減益要因は,販売価格低下の影響が3950億円,為替が490億円,実質の売り上げ減の影響が470億円,原材料価格上昇分が430億円,減価償却費の増加分が417億円である。一方,増益要因は,合理化が3650億円,固定費の削減分が798億円だった。

グローバルで1万5000人を削減

 2008年度通期の業績見通しに関しては,第4四半期以降に市場環境の悪化が加速することから,下方修正した。修正後の業績見通しは,売上高が7兆7500億円(2008年11月27日に公表した値は8兆5000億円),営業損益は600億円の利益(同3400億円の利益),当期純損益は3800億円の損失(同300億円の利益)である。2007年度の実績は,売上高が9兆689億円,営業損益が5195億円の利益,当期純損益が2819億円の利益だった。

 2008年11月27日公表値に対する営業利益の減少分は2800億円である。その増減要因のうち減少要因は「景気減速・競争激化による影響」が3250億円,「為替の影響」が100億円で計3350億円,増加要因は「原材料価格の低下」が160億円,「合理化・固定費削減」が390億円で計550億円,差し引き2800億円となる。

 さらに,2008年度第4四半期からは追加の事業構造改革を行い,経営体質の改善を図る。2008年11月27日に公表した事業構造改革費用は1550億円だが,これに1900億円を追加し,計3450億円をかけた事業構造改革を2008年度内に実施する。事業構造改革の主な内容は,「製造拠点など27拠点の統廃合(国内13拠点,海外14拠点)」,「赤字事業からの撤退および固定資産の減損」,「製造拠点などの統廃合や事業撤退に伴う人員の再配置・削減」である。

 人員の削減に関しては,2009年度末までに全世界で1万5000人を予定している。国内と海外の比率は1対1だが,正規社員と非正規社員の比率に関しては公表できないという。国内は正規と非正規の両方,海外は主に正規が削減対象となる。

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