UQコミュニケーションズは2009年2月3日,モバイルWiMAX(IEEE802.16e)技術を使う無線データ通信サービス「UQ WiMAX」の詳細を発表した(図1,図2,発表資料1)。2009年2月26日からモニターに向けた無料の試験サービスを開始し,同年7月1日から有料サービスに移行する。有料サービスの料金プランは1種類のみで,定額使い放題の月額4480円である。
都内で開催した記者発表会で同社は,会場内に屋内用の基地局を設置し,モバイルWiMAXで通信したときのデータ伝送速度を計測するデモを見せた。このデモでは,下りが約16Mビット/秒,上りが約3.9Mビット/秒だった。同社がUQ WiMAXで採用したモバイルWiMAXのプロファイルであるWave 2は,規格上の最大データ伝送速度が下り40Mビット/秒,上り10Mビット/秒である(図3,図4)。
今回のサービス発表に合わせて,UQ WiMAX対応のデータ通信カードも発表した(発表資料2)。シンセイコーポレーション製の2機種とNECアクセステクニカ製の2機種で,いずれもパソコンに接続して利用する端末である。USBインタフェースで接続する「UD01SS」「UD01NA」,PCカード型の「UD02NA」,ExpressCard/34型の「UD02SS」がある(図5)。端末価格は1万2800円または1万3800円。消費電力は「各機種とも,送信時にデータ通信カード全体で1~1.5W程度」(UQコミュニケーションズ)であるという。なお米Beceem Communications Inc.は,同社のモバイルWiMAX 対応送受信ICがNECアクセステクニカ製の端末に採用されたと発表している(Beceem社の発表資料)
試験サービスは首都圏の一部で
2009年2月26日~6月30日の試験サービスは,一般から募集したモニター5000人を対象とするもので,サービス地域は東京23区,横浜市,川崎市の一部である。月額利用料は無料で,データ通信端末も無償で貸与する。応募条件は「東京23区,横浜市,川崎市のいずれかに在住の20歳以上の個人」で,募集期間は2009年2月15日まで。同社のWebサイトで応募を受け付ける。
試験サービスを開始する2月末時点での基地局数は「500超になる見込み」(UQコミュニケーションズ 代表取締役社長の田中孝司氏)である。その時点では基地局と基地局の中間部などで通信が途切れる場合もあるという。「既存の基地局の中間に設置するようなかたちで,有料サービスの開始までに首都圏の基地局を倍増させる計画」(田中氏)である。
4年後までに人口カバー率を90%超に
2009年7月1日に開始する有料サービスは,首都圏,京阪神,名古屋の3エリアで始める。従量課金制は採用せず,利用料金は一律の月額4480円とした。「“モバイル・インターネットで最速”かつ“低料金”であることをウリにしていく」(田中氏)。有料サービスの開始後も基地局の設置を進め,2013年3月末までに全国の人口カバー率を90%超にする計画である(図6,図7)。
「WiMAXが届かないところを補完するのが目的」(田中氏)の公衆無線LANサービス「UQ Wi-Fiサービス」も2009年秋に開始する。UQ WiMAXサービスのユーザーが無料で利用できるサービスであり,東海道新幹線の車両内などの交通機関を中心に提供する。
UQコミュニケーションズは,KDDI,Intel Capital,JR東日本,京セラ,大和証券グループ,三菱東京UFJ銀行が出資する企業。2.5GHz帯の周波数を利用するモバイルWiMAXサービスの事業免許を2007年12月に取得し(当時の社名はワイヤレスブロードバンド企画),2008年3月に現在の社名に変更していた(Tech-On!の関連記事)。